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クリスマス会ホラー

サタンクロースて。ジングルヘル!じゃないよ、まったく。

 

 

  会社のイベントで社員の子供たちを集めてクリスマス会をやるということになり、企画を色々と練ることになった。僕はクリスマスソングをギターで弾いて子供たちに歌わせようかな、盛り上がるだろうななんてのんきに考えている。


 さて職場には普段温厚で口数の少ない30代の男性職員がいる。彼はものすごく腰が低く、挨拶も丁寧でこちらが指示を出すとすぐに「はい!わかりました!」と気持ちよく動いてくれる人だ。そしてあまり冗談なんかは言わない、至極真面目な人間だ。その彼はクリスマス会で食育を担当することになった。
 彼がこの間昼休みに僕に
「あのう、いちおうクリスマス会の企画考えたんですけど、今所長が食事中だからまだ言わないほうがいいですかね」
と相談してきた。
 なになに、クリスマス会の企画で食事中に言いづらいことって何よ?下ネタか?と思いつつ彼の企画書を見てみると

 

  食育
 ・生きた鶏の屠殺+解体と生命を買って生きる事を考える→値700~1000円
 ・アイシングクッキーを作る
 ・ブッシュドノエル作り

 

 と記されていて、最初の一行で僕は大爆笑してしまった。二行目とのギャップもすごい。
 どうしてその考えに至った?あんまりおもしろすぎてしばらく笑いが止まらなかったのだが、彼は困惑したような苦笑いのような表情だった。ギャグじゃないんだよね。
 相手が真面目にやっていることが度が過ぎていて面白くなってしまうことってあるじゃない。僕はその昔、バイト君が真面目に言ったことがツボにはまって大笑いしたら彼が非常に気分を害した様子だったことを思い出し、
「いや、いいと思うけど、どうかな?所長に聞いてみる?わははは、いやいいと思うよ・・・ぷぷぷ」
 と最大限に気を遣ってみたが子供たちの前で鶏を殺すってヤバすぎだろうという状況を考えたときにまた笑いがこみあげてきて結局延々15分くらいは笑い続けてしまった。彼も彼で
「あーやっぱダメですよね」
とその過激さに薄々気づき笑っていた。

そのやり取りを聞いていた所長(女性・60代後半)が
「なあに?なに笑っているの?」
というので説明すると少々引き気味ではあるが顔を真っ赤にして笑っていた。

 

 なんでも彼は学生時代に授業の一環で鶏を〆た経験があるらしく、
クリスマス→鶏料理→鶏→屠殺という発想になったらしい。

 「鶏の屠殺+解体」というワードが面白い上にその状況を想像してしまうのでもっと面白い。
子供たちがやってくると普段見慣れない鶏がコケーコココとかいっているわけじゃない。当然子供たちはわーにわとりだ!かわいい!
とかなんとか物珍しさで盛り上がるわけじゃない。そんでその盛り上がりの絶頂で彼が出てきて鶏の首根っこつかんで
「じゃいくよー」
とぶち殺すという恐怖!
血がぶしゅー!子供たち阿鼻叫喚でしょ。そんでそのあと羽むしったり、内臓処理したりして料理するんだと。
子どもそんなの食えるか!
 
 とにかく彼のキャラクターと相まってより面白さが増幅されるのだが、この面白さ、文面じゃ伝わらないよねえ!
 
 あまりのおもしろさに感に堪えざるにや、僕はあちこちでこの話を披露し、そのたびみんな爆笑していた。来年会社なくなるよ、とか子供たちのトラウマ必至などの周辺情報がさらに追加されていつまでも笑える。今も少しニヤニヤしながら書いています。
 こういう話って内輪だけの面白さでしょうが、たまにはこんなことがありましたという記事もいいでしょ。

これが実際の企画書。自らバッテンを付けているのも笑う

 

ちなみに彼は家にニシキヘビなどの爬虫類を飼っており、アオダイショウを素手で捕まえて腕を嚙まれても平気の平左というダークな側面を持っています。

 

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