会社の昼休み、ヘッドホンをしてタブレットでYOUTUBEを観ていると、このビデオを発見し、VHSビデオ全盛期のあの懐かしい雰囲気を思い出したよ。
このビデオを体感的に面白いと感じるには40半ば~50代以上で、ある程度80年代のVHSホームビデオカルチャーを享受した経験と知識が必要となるだろう。
まずこの曲を演奏しているのはイギリスのGunshipというユニットで、コンセプトとしては80年代のシンセミュージックを現代的な解釈で復活させ、その曲に映像を絶妙なセンスでつけている人たちだそうな。
そんでこの曲のタイトル「Tech noir」なんだけど、分かる人は分るでしょう?そう、映画「ターミネーター」で映画前半にサラ・コナーがシュワちゃんに銃撃されるクラブの名前だ。そこからしてもうニッチなんだけど、PVの内容がまたすこぶる面白い(80Sカルチャーにどっぷりだった人に於いて)。
VHSビデオでクレイアニメを観ている男。そして、その映画のナレーションはなんと「ハロウィン」「遊星からの物体X」「ニューヨーク1997」などあの当時痺れる映画をバンバン量産していたジョン・カーペンター御大!そして音楽も嗜むこの監督はこのバンドと何らかのコラボまでしているらしい。
クレイアニメはどことなく「マッドマックス怒りのデスロード」のような雰囲気で始まる。ビデオを鑑賞している男と瓜二つである粘土細工の男の胸には四角い穴が開いている。彼は荒廃した未来を大排気量のバイクで疾走し、とある美女にVHSビデオを受け渡すのだが、そこに現れる北斗の拳の雑魚のよな悪党集団!
美女は拉致され、絶体絶命の時、彼女が投げたVHSビデオを男が胸にはめると、なんと「ロボコップ」に変身!瞬間同時にそのビデオのパッケージが表示される。なにこれ、面白い!そうして腿に格納されたデカい銃で悪党どもをぶち殺していくのだけれど、その親玉もまたVHSビデオを装着し、なんと「13日の金曜日」のジェイソン(当然ビデオのパッケージが表示される)に!不死身のジェイソンのナタ攻撃であっけなく男は絶命、美女は連れ去られてしまう。それをテレビで観ていた男は憤激し、自らのVHSビデオコレクションをチョイスし、機械をなにやらいじくりまわして、タイマーをセットし、なんとテレビの世界に入り込み復活。いいぞ!
一方捕まった美女は杭に縛られて、エイリアンが用意したエッグチェンバーから生まれたフェイスハガーに襲われる寸前!しかしその瞬間男がバイクでそれを轢きつぶし、顔を腫らしたエイドリアン絶叫中フェイスロッキーに変身、パンチで敵を蹴散らす!。一方悪党も今度は「ヘルレイザー」ピンヘッドに変身し応戦。男はビデオをとっかえひっかえして、僕もよくわからないヒーローやクマちゃん(この辺はアメリカの80S文化により詳しい人ならわかるのでしょう)に変身し、美女を救い出す。最後の最後でついに親玉レザーフェイスが登場し、チェーンソーで襲い掛かるが、間一髪セットしていたタイマーのおかげで男と美女は現実世界に逃げ出すことに成功!
いや、久しぶりに面白いPVだったなー。ヴィジュアルが強すぎて曲の印象はほとんどナシ!でも面白かったので他の曲も見てみると、やはり80年代映画カルチャーを軸にした曲やPVをわんさか作っていた。
フラッシュ・ゴードン、孫悟空、ターミネーター、プレデター、エイリアン、そして何故かカート・ラッセルの人形たちがドローンレースをするのだが、始まり方がいかにもあのころの映画が始まる前のタイトルバックの雰囲気を再現していて素晴らしい。
小ネタも散りばめられていて、プレデターのメッセージはプレデター文字で表示され、最後の場面では「エイリアン2」のUSSスラコ号が登場し、その内部には「プレデター2」で出てきた彼らが対決して殺した獲物の頭部を飾っている壁面が出てくる。これらの映画を全て観てなきゃ意味わからん!ちなみにスラコ号のミニチュア、映画では片側しか登場しないので右半分しか作られなかったというエピソードがあります。
こちらは「マイアミ・バイス」そのままだし
カウンタックをはじめとするスーパーカーが登場しまくり、めちゃめちゃバブリー
こちらは80年代の数々のSF映画たち・・・「ブレードランナー」「ニューヨーク1997」おそらく「ダークシティ」「クロウ」「バタリアン」を無理やりシャッフルしている。著作権てどうなってるの?
どちらのPVも、始まる前に必ずあの当時のビデオや映画が始まる前によく出てきたロゴの感じと、ふぁんふぁんふぁーんというこれまた懐かしい感じのジングルが登場し雰囲気抜群である。
さて、僕はこのバンドのビデオを観て、僕の青春の中核をなしていた80Sカルチャー、特にSFホラー関係のVHSビデオを買い漁っていたことを思い出し、いまだに何本かは屋根裏にしまってあることに気付いたのです。それがこれだ!
GunshipのPVの男と何ら変わりなし。ボンクラ度高め
20代、東京で無責任に一人暮らしをしていた僕は、しょっちゅう御茶ノ水~神保町界隈に繰り出し、数多くの古本屋と中古ビデオショップ、CDショップや楽器屋を巡ってグレゴリーのリュックにパンパンに戦利品を詰め込んでホクホクしながら家路についたものだ。だから実際にはこれの倍以上のビデオを持っていたと思うんだけど、さすがに捨てたり売ったりした。
他にもここにないものでは、期限切れのワインを飲んだホームレスが化け物になる「はきだめの悪魔」とかクトゥルフ神話で有名なHPラブクラフトの「死体蘇生人ハーバート・ウェスト」という原作を思いっきり無視した「リ・アニメーター」とかニューヨークの地下に放射能の影響によりモンスター化した人間がはびこる「チャド」や(どうでもよいのだけれど、レッチリのチャドを見るといつもこの映画を思い出す)、シンジェノアというエイリアンもどきのモンスターがこれまた街の地下に出没する「スケアード・トゥ・デス」などが思い出せる。書き出すとキリがないが、それにしてもロクな映画観てないね。
さていくつかの作品を、おせっかいにもご紹介しますよ。まずは80年代のあだ花映画、「メガフォース」
世界の秩序を維持するために秘密裏に結成された最強軍団「メガフォース」!しかし、どう見てもバイクと四駆の少し大きな車が荒野を爆走しているだけで、当時中学生だった僕からしてもかなりのダサさを感じられるメガフォース軍団であった。今は亡き映画雑誌「ロードショー」に特集があったと思うんだけど、隊員のスーツもダサくて全然イケてない感じがしたので見に行くつもりはなかったんだけど、確かイーストウッドの「ファイヤーフォックス」の同時上映で観たんだよ。そしてら結構お金がかかっていて、思ったよりも面白かったんだけどやっぱり今見てもダサいよなあ。そんでもって相手は戦車軍団なのにバギー車からビームとかズルいよ。
この映画サウス・パークの原作者トレイパーカーが絶賛してたっけ。確か最後、主人公がバイクに乗って砂漠から脱出するシーン、バイクが空を飛ぶんだけど、合成バレバレでそりゃないでしょ!と思ったっけ。
こちらは「指輪物語」でおなじみピーター・ジャクソンが数年かけて友人たちと作り上げた、それこそ悪趣味映画の最高峰「バッド・テイスト」
まさかこの監督が指輪物語を監督するとは。情熱は夢実現の原動力だ。オーストラリアの田舎町に宇宙人が紛れ込んで侵略を始めようとするのを気付いた男たちがその家に忍び込み戦う。何が悪趣味かって、宇宙人たちは人間の姿をしているのだが、その食事スタイルが仲間が口から吐いたゲボを回し飲み!そこに運悪く紛れ込んだ地球人が嫌々ゲボを飲むシーンは白眉。
ちなみにピータージャクソンはイカれた戦闘員として登場し、宇宙人とバトルした挙句、最後には家の形をした宇宙船に乗り込んで宇宙人をぶち殺してその皮をかぶって「お前ら待ってろよ!」と敵の星へ向かうという狂った演技をしております。確か最後に流れるテーマソングも彼の作曲ではなかったかな。
おそらく日本で知っている人10人に満たないであろう「プレデターゲーム2」
この映画にはものすごい発見があった。
80年代も末、僕は狂ったように毎週友人たちと輸入ホラービデオ(当時パソコンのスーパーインポーズが入った海賊版が町のレンタルビデオ屋に出回っていた)を観ていたのだが、そこで借りた「バイオハザード/BIOHAZARD」(あのカプコンの有名ゲームとは何の関係もない)という映画があった。実験で異世界からモンスターが召還されてしまい、それがトラックでの輸送中逃げ出すという展開だったのだが、そのモンスターがあまりにもお粗末な造形で、一つも怖くないのだ。
拘束されていた箱からモンスターが逃げ出し、監視の兵隊を襲うのだが、襲うというより全力で左右にイヤイヤをしているようにしか見えず、あまりにも間抜けなその動きに一緒に見ていた友人たちと大爆笑。でも兵隊は顔面に大怪我をし昏倒。あんまり面白いので何度もその場面を巻き戻してはまた笑ったものだった。最後までとにかくどうしようもないZ級作品だったが、その後友人たちとの間では「バイオハザード」のモンスターのマネをするギャグとかが局地的に流行ったりした。
さてこの「プレデターゲーム2」なんだけど、ビデオを再生すると、そこに現れた英語タイトルテロップがなんと「BIOHAZARD 2」だった!衝撃の再会!しかも内容は前作と全くつながりがないのだ。「2」の意味はよ?しかしダメな部分はしっかり受け継いでおり、例えば冒頭、怪しげな研究所から逃げた車に警備員がバズーカで砲撃し、車に命中し縛円が上がるのだが何故か次のカットではノーダメージで車は爆走!僕は目を疑った。今、撃って命中したよね?しかも「逃げられたか」とか言っているし、訳わからん。
ちなみにデビッド・キャラダイン主演で邦題「プレデターゲーム」という作品がありますが当然この「2」とは絶対的に無関係でございます。そんでもって前述の「バイオハザード」は邦題として「エイリアン・ハザード」というタイトルがつけられていたとのこと。最も要らない知識!
あとは言わずと知れた「いけにえ1・2」
注目はいけにえ2の表紙のクレジット。
監督と同列に「特殊メイク/トム・サビーニ」と記入されている。トムといえばあの「ゾンビ」のメイクを担当したスター特殊メイクアップアーティストだ。彼が関わった作品は数知れず、そのゴア描写の見事さでホラーファンの間では神格化されるほどの存在だった。主演を差し置いての扱いがいかにもこの時代らしいよね。
これを観れば彼のキャリアの凄さがわかります(グロ注意)
トム・サヴィーニの話なんか始めたら、もう一万字を超えてしまうのでまた別の機会に。あと監督トビー・フーパーつながりで「スペースインベーダー」(パッケージナシ)もあった。
本来は「インベーダー・フロム・マーズ」が原題だから「火星からの侵略者」が正しいのだろうが、そんなの関係ねえ!
トビー・フーパーはこの作品の前に「スペース・バンパイア」という素晴らしいSF作品を撮り、その勢いでこれも作ったのではないか。
スペースバンパイアについては昔書いてます
あとこれはジェニファーコネリーが世界一美しい少女だった頃の作品
「アリータ」ではだいぶ老けちゃったけどね(でも美しい)
あとオマケ。こんなのが出てきました。
ビースティボーイズの「サボタージュ」の単体のビデオなんか出てたんだね。そんで僕買ってたのか。いや、これは曲とビデオがベストのバランスを持っている大傑作だよね。
ドラマのパロディビデオの先駆
「アンダルシアの犬」は何で持っているのかよくわからない。あと、余程僕は当時「スターシップトゥルーパーズ」に取り付かれていて、本編のビデオ以外に色々なメイキングやらCDロムやらを入手していたのだ。そしてヴィンセントギャロの「バッファロー66」も大好きだったなあ。
いかがでしたか?最後までお読みいただけましたでしょうか?世の中には、かようにどうでもよい文化が溢れており、それに影響された人生と云うものが存在するのです。久しぶりにデュラン・デュランを聴いてロボコップでも観るかな。
いやあ、今日は久しぶりに沢山書いたね