僕は月面を写した写真集「FULL MOON」を観て、一時期アポロ計画や月に関して熱に浮かされたように関連資料や映画を見まくった時期があった。
珠玉の写真集です
そのことに関しては二年ほど前にやたらと書いてます
僕のアポロ&サターンロケットへの偏愛を綴ってます
さてそんな僕がこの映画を観ないわけには行かないじゃないか。
ストーリーは人類初の月に降り立った男、ニール・アームストロングがいかにアポロ11号の船長となり、ミッションをこなしたかを追っていく。
ただ、エンターテインメントに傾きがちなこういう題材を、「ラ・ラ・ランド」の監督であるデミアン・チャゼルはひとりの人間としてのニールを描き、かえって全体的に静かで落ち着いた印象の映画となっている。
冒頭、超音速飛行機のパイロットとして登場するニールだが、実生活においては愛娘のカレンが腫瘍に犯され、やがて亡くなってしまうという悲劇に見舞われる。
この娘の死が後々様々なシーンでフラッシュバックされる。
僕はアメリカの宇宙開発の歴史についてはかなりそこそこ詳しいので、エピソードは全部知っている。ジェミニ8号のパイロットになり、ドッキング衛星のアジェナとドッキング後回転が止まらず彼の機転で危険を回避したり、アポロ1号のガスやエド・ホワイトが火災で亡くなったり、月着陸船のシュミレーションで事故があったり・・・。
このあたりの出来事は全部「フロム・ジ・アース・トゥ・ザ・ムーン」というトム・ハンクスが関わったテレビドラマシリーズで何度も観たので新鮮味なしもいたし方ないね。
ビデオを全巻買って、何度も観ました
ニールを演じるライアン・ゴズリングは顔かたちがそもそもニールと似ても似つかないので鑑賞前は「どうなの?」と思っていたけれど、実際映画が始まると徐々にこれもありかな、と思えるようになる。でも僕にとってはやはり多少の違和感アリ。まあ、「アポロ13」でトム・ハンクスが船長のジム・ラヴェルを演じたのもどうかと思ったけど、無理やり顔を似せる必要は無いか。「チャーチル」なんかだと似せに行ってたけどね。
映画としては非常によくできていると思うんだけれど、どうしてもジェミニ計画からニールの動きを追っているので、僕からすると個々のエピソードが散漫に見えてしまった。本当はもっとアポロミッションの部分に時間を割いて欲しかったけれど、それはこの映画の意図するところではなないのだろう。
とはいえ、いろいろな場面で引っかかるところもありました。
例えばデュークス・スレイトン(宇宙飛行士であり、アポロ計画の人事決定権を持つ人)がニールにアポロ11号の船長だと告げるのがトイレ!あと、ジェミニ計画を伝える時もそうなんだけど、そんな日常的な場所でさらりと重要事項を伝えちゃうの?部屋に呼んで任務を伝えないのか?
アポロ11号のもうひとりの月着陸クルーのバズ・オルドリンがちょっとヤな奴として描かれていた。オルドリン、確かに変人だったらしいけれど(しかもどうしても自分がファースト・マンになりたくて結構ゴネたらしい)この扱いは、かあいそうだ。
CG全盛の昨今、例えばジェミニ宇宙船が危機的状況に陥ったとき、あえて客観ショットをそれほど用いず、ニールの主観ショットを多用し観客があたかもその場にいるような演出が多かった。
他にも月着陸の瞬間、はしごを降りるニールの主観ショットには結構感動したよ。
月の描写は非常にリアルでぜひ大スクリーンで観たい。僕の見たスクリーンは小さめで迫力が半減。あーあー、近くにIMAXできないかなあ。
ニールがアポロ計画に参加して以降は、ニールのはめる腕時計がきちんとオメガのスピードマスターになっていた。当たり前か。
やっぱりこの時計でしょ
なんだかまとまらない内容でしたが、宇宙開発に興味を持った方のためにおすすめの宇宙開発映画をご紹介しておきます。まずは黎明期の事情がよくわかる、「ライト・スタッフ」。
このあとに「ファースト・マン」を見ると流れがよくわかります。
そして次に見るべきはやはり傑作「アポロ13」でしょ。
映画のエンタメ度で言えばこちらのほうが上でしょうね
緊迫感がすごい。そしてカタルシスも。最後いつも泣きそうになるよ
この他YOUTUBEで探せばサターンエンジン開発者のフォン・ブラウンのドラマとか、ソ連の宇宙開発主任のドラマとかもありますが、よほど好きじゃないと見ないか。
それはそうと、もう少しで10000PV行きそう!