北関東における11月のイベントとか、博物館とか、美術館を色々調べていたら「岡本太郎と『今日の芸術』」展を発見した。
僕の住んでいるところから行ける距離ではかなり魅力的な展示
こちらがHP
早速アート好きの小5の娘と行ってまいりました。さて、着いたはいいが前橋の街並みはほぼゴーストタウン。「シャッター商店街」という言葉そのものを体現していた。
路頭に迷ったとはこのことか
あれ、でも向こうに人がいる。そしてなぜだかレッドカーペットが敷いてあるぞ。どうやら休日である本日、地域活性化のための何かしらのイベントを行うらしい。じゃ岡本太郎展を見たあとに寄ってみるかい。
ということでこちらのイベントは後ほどお伝えします
とはいえ、古い町並みなのでなかなか魅力的なロケーションではある。そのレトロ感のゆえに、映画やテレビの撮影ではよく使われるらしい。そんな街を闊歩しているとなんだか不可思議なスポットを発見。
ここ一体何屋?
看板を見たところ元は青果店だったようだけれど、上の部分だけはその佇まいを残し、タバコと自販機の置き場となっている状態が不思議な感じを醸し出している。そして、中央の野菜や果物が置かれていたと思しき台には・・・
飲み終わった缶がポツン。ひょっとしてすでにアートの展示が始まっているのか?
あまりのとりあわせに失笑してしまい「いやーシュールだな」と思わず漏らすと娘が
「シュールってなに?」
と聞いてきたので、
「うん、もとはシュルレアリスムっていって、ダリとか、ブルトンとか、ロートレアモンとか・・・
・・・・
・・・・
・・・という芸術運動のことなんだよ」
「ふーん」
などと薄っぺらい能書きを、小5の娘相手に垂れていい気になっていると突然娘は
「おとうさん!この建物すごいよ!中がボロボロだよ!」
と言い出して僕のいんちき講釈そっちのけで空きテナントに興味津々。
うわー、この建物どうなってんの?
生半可な講釈は魅力がないということを悟らされました。さて、アーツ前橋に到着し大人600円(中学生以下はタダ)を払って入口に向かうと、太郎の等身大のパネルがある。
そんなに背は高くはなかったのですね
そうして数多くの作品を観ることができた。残念ながら撮影は禁止だったので写真はありません。僕は『森の家族』という作品を一番気に入りました。あと以前から気になっていた『座ることを拒否する椅子』という作品の実物があって感動。座れなかったけど。田舎にいると、なかなか青山や川崎の太郎美術館には行く機会がないのでここで見られて良かった。
この前橋アーツ、中にいる女性スタッフはみな黒のツーピースにカラフルなブラウスを着ていておしゃれだった。こういう細かいところに気配りがきいているのはいいよね。
さて、太郎作品の撮影はできなかったけれど、こちらの巨大なオブジェは撮影が許可されていました。これ、全部新聞紙とかガムテープで作られていた。
これどうやってここまで運んだのだろう
この作品はこちらの方が制作
さりげなく太郎の作品がモチーフとして散りばめられいてる
うわあ、すごいなあ、なんて思いながら丹念に見ていくと、おやどこかで見たような光景が。
犬らしきものが飛び出してます
これを見た瞬間僕は『遊星からの物体X』!と思った。
プライムで見られるのは福音
この映画は簡単に説明すると、宇宙からやって来た形の無い宇宙人が生物に寄生すると其の物にすり変わってしまうという内容。当時そのグロテスクかつ芸術的な特殊メイクにやられた僕は今でもたまにこの映画を観るのだけれど、そのクライマックスシーンで登場するモンスターからドロドロの犬が飛び出す場面があるのです。
そうして、これどう見ても物体Xだろう、作家の人絶対にSF映画好きだよな(調べたら30代半ばの若い方で教員をしながら活動をしているそうです。すごい)と思いつつ、もう一枚娘に撮影を頼んだのです。
とにかくすごいね
すると娘が、
「あれ、お父さん、何か字が書いてあるよ。充・・・実の・・」
「え!どこどこ?あ、ほんとだ」
「充実の上に」読めますか
僕はこれを見て作家のSF映画好きを確信した。なぜかというと、この「充実の上に」という言葉は永遠の名作『ブレードランナー』で未来のLAが出てくるのだが、その街にあるネオンサインの文字だからだ!僕はすぐに気づいたよ!
半端なファンではないですから
思わぬメッセージを解読した僕は、なんだか嬉しくなって宙に浮いてしまいました。
ぶわーん
「おとうさん、わたしも、わたしも!」
ぶわーん
なんだこの父娘