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食経という書物に学ぶ

その昔30年くらい前だろうか、酔狂にも僕はこんな本を買った。

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 「食経」というタイトルがついている。

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食経 (中国古典新書)

食経 (中国古典新書)

 

 

 中国人は昔から「食」に対する飽くなき探究心があり、それは古来様々な書物を通じて残されているのだそうです。そうして、そのような書物を編集し、この形で日本において紹介されたわけ。

 そして僕が1260円も払ってなぜか買ったわけ。

 

 なんでこれを買ったのかというと、パラパラと中身を見ると、それなりにヘンな記述があったからです。今思えば1260円出して買うほどのものでもないんだけど、買って手元にあるからには、規模が小さいとは言え、媒体を持っている身としては載せたくなるもの。以下、気になった内容を記して後世に残したいと思います。

 

 「夜は多く食すべからず」

  ・・・これは、まあわかる。夜に食べすぎはよくないよね。しかし、これはどうだ。

 

 「西北に向かひて大小便するなかれ」 

 ・・・何か風水・陰陽道的ないわれがあるのだろうか。しかし家を作るときにこの方角に作ってしまった人はどうすればよいのだろう。黄色のものを置くと良いとかいうよね。

 

 「大小便忍ぶなかれ。人をして膝労・冷痺痛をなさしむ」

(大小便を無理に我慢してはいけない。そうすると、膝が疲れて冷えしびれ、痛みを生ずる)

 ・・・人によると思うのだけれど。

 

 「夜、行く時は歌唱し大叫するなかれ」

(夜道を歩くときは大声で歌ったり叫んだりしてはいけない)

・・・迷惑だもんね。って食関係なくない?

 

 「食飽くるとき頭を洗ふなかれ。風疾を生ず」

(腹いっぱい食べたあとで頭を洗ってはいけない。中風になる)

 ・・・因果関係が全くわからない。子供がよく、「お腹いっぱい!」とか言いながらその後すぐ風呂に入っているが、中風は大丈夫なのだろうか。

 

 さて、この後のページでは妊娠中の婦人が食してはならないとうものが列挙されているのだけれど、これがまた物によっては極端なのだ。

 

 「山羊肉を食すれば、子をして多疾ならしむ」

(ヤギの肉を食べると、病気がちな子供になる)

 

 ・・・そうなの?この他にもに様々な肉の弊害が乗っているんだけど、次のこれが一番意味不明。

 「鼈肉(べつにく)を食すれば、子をして頸を短ならしむ」。

(すっぽんの肉を食べると子供の首が短くなってしまう)

・・・どんなエキスが入ってるんだ、スッポン。

 

 

       次に酔った時の注意事項の項目をご紹介します。

 

 「酔ひて飲むこと度を過ごさば、生の源を喪ふ」

(度を過ぎて飲んでしまったら、生命の根源を失ってしまう)

・・・そのとおりでしょう。飲みすぎ注意。そういえばその昔、CMで「飲みすぎシール」というのを貼るやつがあったが、あれ今欲しいな。

 

 このあとしばらくは真っ当な酒の飲みすぎに対する注意があるのだけれど、やはりちらほらと面白いものが紛れてるんですよ。

 

 「酔ひて風に当たりて臥すべからず。風疾を生ず」

(酔って風にあたってはいけない。中風になる)

・・・風に当たるからではなく、飲み過ぎなのでは?それにしても中風になるのが多いね。

 

 まあこれはいいとして、次のはちょっと怖い。

 

 「酔ひて陽に向かひて臥すべからず。人をして発狂せしむ」

(酔って陽にあたって寝てはいけない。発狂してしまう)

・・・怖い怖い怖い!昼酔って寝た人、みんなこうなのか?

 

まあ、飲み過ぎを戒めるということなのでしょう。脅しも入っているのでしょう。

 

 最後は仙人の食事をご紹介して終わります。

 いくつかの薬草やらが載っていて、その中でも俄然注目したいのは「天門冬」というユリの根っこだ。これは現在でも漢方で用いられている薬草らしいけれど、昔は仙人になるためのくすりだったのだなあ。では具体的にどれほどすごいかというのをご紹介します。

 

 「天門冬を取り、末としなしてこれを服せ。毎日頻に服せば、大寒の時にも汗出て、単衣なり」

(毎日天門冬を粉にして飲めば、大寒の時にも汗が出て、単衣ですごせるのである)

・・・ってすごくないか。逆に効きすぎのようなきもするけれど。しかし、天門冬の効き目の本領はこんなものではない。

 

 「杜紫微は天門冬を服す。八十の妾を御し、子百四十人あり。日に三百里を行く」

(杜紫微という人は天門冬を服していたおかげで八十人の妾を養い、百四十人も子供を生ませ、一日に三百里を走ったという。

・・・すごい。パワフルすぎ!さすがにこんなふうになりたいとは思わないけれど、少し羨ましい気もするよね。

 

 「赤松子は天門冬を食す。歯の落ちたるも更に生じ、細き髪復た出づ」

(赤松子は天門冬を食べたところ、抜けていた歯が再び生え、細い髪がまた生えてきた。)

 

とまあ、このようにものすごい効き目なわけです。さらにこの後、天門冬のレジェンドが続く。

 

 甘始という人は三百年生きた。

 神仙は天門冬を服してから百日経って顔つきがよくなり、力強くなり、走る姿がまるで飛んでいるように見えた

 ・・・すごいねえ、天門冬。

 

        天門冬服すしかねえ!

 

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