ポポロクロイス物語ってご存知ですか。ご存知の方も結構いるはずです。ソニーの名作RPGでアニメになったり、その後シリーズで何作も作られて、今でも作られているから。
このブログを日頃暇つぶしに読んでいただいている方は、このフレーズをよく読まされてお分かりでしょうが、僕が20代半ばのころは本当にとんでもなく甘ちゃんで、親のスネをかじって就職もせずにバンドをやり、その一方で資格を取るための勉強と称して通信制の大学に通ったりして現実には目を向けず、ずるく自分の境遇を肯定して生きていた。同級生は皆働いて、結婚するものいたというのに。
そうして僕は何をしていたかといえばうだつの上がらないバンド活動、読書、バイト。そして無為にゲーム。
あのころはプレステが発売されたばかりでFF7を始め、バイオハザードの一作目など、次から次へとダメな人間を作るような素晴らしいゲームが僕らの前に登場し始めた。今はほとんどゲームをやらないけれど、当時はヒマ星人と称してぶらぶらしていたロクデナシの僕は、朝まで好きなだけFFをやったり、ヘッドフォンでバイオをやって一人ビビったりしていたというわけ。
しかし一通り上記のビッグタイトルを終えてしまうと寂しいわけですよ。バイオなんか全部やり尽くして、最終的にわざと最後のカウントダウンまでタイラントから逃げ切って基地を爆破させて友人と大笑いしたり、ゾンビが大アップになるアングルを発見して「こえー」などと興じたりしていた。さすがにナイフ一本のみクリアなどという強者にはならなかったけど。
とにかく、その後ゲームロスに陥ったわけですね。そこで何か時間をかけて取り組めるロールプレイングゲームを探したのです。まあ、FFクラスのものなどさすがにそうそう発売されるわけでもなし、かと言って洋ゲーのRPG(確かウィザードリー2とか?)は操作やストーリーがなじまない。そんなある日、中古ゲーム屋の棚にひっそりとこの「ポポロクロイス物語」を発見したのです。
一見グラフィックは2DでFFやバイオのポリゴンに慣れた目からするとしょぼく感じられたのだけれど、可愛らしい絵柄や煽り文句、ソニーコンピューターエンターティメント制作というブランド力もあってまあ、いいんじゃない?と買いました。
実際やってみると、すげー面白かった!
なにしろオープニングからこのゲームのためだけに作られたアニメーションが流れるのに度肝を抜かれたのだ。ガミガミ魔王なる盗賊が主人公ピエトロ王子の城から王冠を盗み出し、そのあとを魔法使いのナルシアと追うというのが前半のストーリー。そこに白騎士という剣使いのキャラが加わり、パーティーを組んでガミガミ魔王を退治するのだ。
グラフィックが綺麗で世界観が作りこまれており、キャラも立っていた。ダッシュをするピエトロ王子の姿も可愛らしかった。敵キャラもどこか憎めないユーモラスな奴らばかりだった。音楽も素晴らしく、僕は後にパソコンに取り込んでこのゲームの音楽を聴いていたこともあったっけ。
要所要所でアニメが挿入される演出が絶妙で、敵だったガミガミ魔王が味方になるくだりなどよく練られていた。
特に中盤の、まるで天空の城ラピュタのような「ブリオニア」という空飛ぶ島へ向かうあたりは「ああ、このゲームやって良かった」とどうしようもなく間抜けな感想を持った。
ただ素晴らしい内容だったのだけれど20時間位でクリアできてしまい、ちょっと物足りない思いをした。それで仕方なくもう一回やり直して、すべての「おみやげ」(各地で集めることのできるレアアイテム)を集めたり、無駄にレベルをあげてらくらくクリアとか、二十代の貴重な時間を湯水のごとくそれに費やして僕の青春は少しずつ過ぎていった。
今でもピエトロの「ファイヤーボール」とかナルシア(女の子の魔法使い・後にピエトロと結婚)の「おうごんのかぎ」などの微笑ましい必殺技を覚えている。その中でも一番好きだったのはガミガミ魔王の「ネズミ花火」だ。
「ネズミハナビ」
というボイスとともにしゅるるるると火花を散らす花火は運良く敵の中でぱん!と破裂すればそれなりの破壊力(つってもたいしたことないけど)を発揮するんだけど、大抵は敵とは全く関係ないところで爆発したり、下手をすると自分たちの陣地で爆発してダメージをくらったりとそれはそれは魅力的な武器だった。
そうして僕があまりにこのゲームにはまっていたのを見た後輩もやはりこのゲームを買って遊んでいた。数日後彼が僕のところにやってきて
「なるかみさん!ポポロクリアしましたよ!ラスボス何で倒したか知ってます?」
「いや知らない?かぜのやいばとか?」
「いやいやいや!ガミガミのねずみ花火ですよ!」
「わははははは」
こんな会話そうそうできるもんじゃない。
この後出た「ポポローグ」「ポポロクロイス物語2」もやって、PS2のヤツもやったんだけど、やはり一作目が一番面白かったな。もう一度プレステ引っ張り出してやるかな、おっさんが!
今もこうして新作が出ているようですね。評判あまりよろしくないようですが
この素人三文小説がコンテンツされないかしら