この「文芸少女の文法講座」は、このブログの管理人である僕「なるかみ音海」が書いた『ヘビーメタルと文芸少女』という素人小説の主人公である「大石ユリカ」というキャラクターが、僕のものしたもう一つの作品『土管の向こうの街』に出てくる「山内孝之」に文法を教えるという茶番を通じて、言葉の仕組みを語ろうという試みです。
文法が苦手な小学生や中学生、高校生、そして大人たち、集まれ!
登場人物紹介
大石ユリカ
高校2年生のヘビーメタル好きの文芸少女。小学2年生のときから父親の影響でメタリカを聴き始め、同時に始めたギターの腕前はプロ級。
こちらの小説の主人公です。よろしかったら読んでください。
山内孝之
小学6年生。中学受験を控え、勉強をしている。文法は苦手。ユリカに家庭教師をしてもらっている。
こちらの小説の主人公です。よろしかったら読んでください。
さあ、今日も文節の話だよ。前回は文節数も少なくて簡単だったけど、今日は少し難しいものにチャレンジしようね。じゃ、早速だけど孝くん、この文を文節に分けてみて。
この本はデスメタルのことを書いている、とても面白い本です。
デスメタルって何?
えっと、そうねー、人間が演奏することのできる極限に挑戦した究極のメタルっていうのかな。例えばこんな感じよ。
うわー速!うるさ!ユリカ先生こんなの聴いてるんだ・・・
カッコいいでしょ!でもあんまり速くて笑っちゃうでしょ。
あとでCD貸してあげるね。さ、じゃあさっきの文を分けてみて。
うーん、こうかな。
この本は/デスメタルのことを/書いている/とても/面白い/本です。
ブッブー!
ええ、どこ間違えたの?
まずね、「この」と「こと」は一文節なの。これよく間違えるから気をつけてね。
「あの・その・この・どの」や「こと・もの」は切る、って覚えておいてね。それからね、「書いている」も「書いて/いる」で分けられるよ。だから正解は
この/本は/デスメタルの/ことを/書いて/いる/とても/面白い/本です。
だよ。
うわ、結構切れるんだ。難しい・・・。
そんなことないよ。気をつけるのは「~て/いる・いた」とか「~て/ある・あった」みたいな補助の関係の部分かな。補助の関係っていうのはまたあとでやるから、そんなもんかって感じでいいよ。じゃあ、また練習してみようね。次の文を文節に区切ってみて。
多摩センター駅までは下り坂を自転車で10分である。
そう固く決意した彼女は、その日から猛勉強を始めた。
私はその曲を聴いたとたんにヘッドバンギングをしてしまった。
こう自分に言い聞かせながら、ともすれば鈍りがちになる歩みをなんとか進めた。
・・・最後のやつはちょっと難しいかな?じゃ答え合わせをするよ。
多摩センター駅までは/下り坂を/自転車で/10分で/ある。
そう/固く/決意した/彼女は、/その/日から/猛勉強を/始めた。
私は/その/曲を/聴いた/とたんに/ヘッドバンギングを/して/しまった。
こう/自分に/言い聞かせながら、/ともすれば/鈍りがちに/なる/歩みを/なんとか/進めた。
最後の二つ、全然できなかったよ・・・。「言い聞かせながら」を「言い聞かせ/ながら」で切っちゃったし。
文節って切り足りないこともあるけど、切り過ぎにも注意しなくちゃね。たとえば「ながら」はその言葉で文を始められるかどうか、考えてみるの。「ながら」では文をはじめるのは不自然だよね。そう考えて切ってみて。これ結構間違えるんだよー。例えばこんなの。
そろそろ雨が降りそうだから、傘をさそう。
彼は明日ならテストを受けられるようです。
どう?切れたかな?正解はこうよ。
そろそろ/雨が/降りそうだから、/傘を/さそう。
彼は/明日なら/テストを/受けられるようです。
えーっ!「降りそうだから」と「受けられるようです」って一文節なんだ!
そうなの。だって「そうだ・ようだ・みたい・られる」なんかはいきなりその言葉で文を始められないでしょ。だから切っちゃだめだよ。長いからといって我慢してね。
でも今日やった切り方に注意すれば、もう文節マスターだよ。ううん、文節マスター・オブ・パペッツだね!
相変わらず意味がわかりません。
こちらがマスター・オブ・パペッツ