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ティアーズ・フォー・フィアーズ/TEARS FOR FEARS  1ST『the hurting』に限る 

 去年再結成されてUKでは盛り上がっていたようだ、ティアーズ・フォー・フィアーズ。80年代に洋楽を聴いていた方なら間違いなくご存知であろうこのバンド、次の2曲を大ヒットさせ当時は飛ぶ鳥も落とす勢いだった。

 

        どちらの曲も誰もが一度は聞いたことがあるのでは?

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 まさに80Sサウンドバリバリのこの曲たち、もちろんいい曲なんだけれど当時の僕としては「なんか違う」という印象で逆にこの曲を境に彼らを聴かなくなってしまった。というのも、僕は彼らをブレイクする前の1sTアルバムから聴いていたので、どうしてもこのメジャーなサウンドには馴染めなかったのだ。

 

 なぜ違和感を感じたのかといえば、僕はとある番組で初めて彼らを観て、聴いたこの曲にハートをガッチリキャッチされていたからだ。

             2秒聴いただけで名曲だ!と断言できる

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 このビデオ、何回見たことか。お金がかかっている訳ではないけれど、イギリスのバンドらしいセンスのある内容だ。そこでこのビデオの見所を語っちゃうよ!おそらく世界初の試みでしょう。

 

 冒頭のプールに飛び込む女性と、なぜかワニという取り合わせがシュール。最初は非常に緊張感あふれる演出が施されているのに、0:34あたりでワニに驚いた女性がB/Voのカート・スミスのすまし顔の後ろでウルトラマンみたいに飛んでっちゃうのに笑う!ぜひ確かめて。

 木の上でギターを弾く、ローランド・オーザバルが奏でるコードを僕はなんとかコピーしたかったのだけれど、技術が足りなくて断念したっけ。

 そうして2人の不思議な髪型に驚きつつこの叙情的なメロディに酔いしれていると、間奏に入り、たくさんの紙ヒコーキが飛び交う中を二人が歩く。この部分のベースラインのアレンジがまたとてつもなく素晴らしい。ンパンパ、ンパンパと鳴る、なんてことはないオクターブ奏法なんだけれど、このンパンパが曲の勢いを後半に向けて盛り上げていくのだ!そうして曲のクライマックス、3:26あたりで入ってくるハンドクラップ(拍手のようなサウンド)の効果!こういう細かい新鮮な音作りに、ハイティーンだった僕はかなりしびれた。

 そうそう、さっき言及した紙ヒコーキの飛び交う中を二人が歩くシーンを見ながら、僕は当時「うわー、これ目に当たったら危ねえなあ」などと心配しながら見ていた。すると、その不安はなんと最後の最後、3:51で現実のものに!

      紙ヒコーキがローランドの右目に直撃!

 かなり痛そうだ。すぐ手で押さえてるし。いつ見てもこの部分、爆笑もの。よくここ使ったよね。高校生だった僕、この曲を聴いていた頃は毎日「ハウキャンアイビショー」と歌っていた。友人と2人、ベースとシンセサイザーだけでこの曲を再現しようという無謀な試みをして断念もしたっけ。

 

 さて、この曲に感動した僕はすぐに近所のレコード屋へ行き、1STアルバム「The hurting」を購入した。 

Hurting

Hurting

 

  ちなみにこのジャケットはCD版のもので、僕が買ったLPレコードはメンバー2人がどっかの公園の池のそばに佇んで、カモに餌をやっている写真だった。でもそのアルバム何処かへ行ってしまった・・・。

            こちらですね。曲は一曲目の「the hurting」

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 それにしてもこのアルバムは素晴らしかった。基本的には当時流行のエレポップサウンドなのだけれど、アコースティックな部分を取り入れた上に2人の繊細なヴォーカルがそれぞれの曲に乗せてメロディを美しく歌い上げる。

        本来のアルバムタイトルであったリードトラックの「CHANGE」

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     このビデオでのローランドの役回り、「ダンサー」という不思議なビデオ

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 ペイル・シェルターのビデオを見る限り、僕はカートがベース・プレイヤーだということがわからなかった。ところが後にライヴ・ビデオを観て彼のテクニックが素晴らしいものであることに気づかされる。ベースラインのアレンジもセンスがいい。

   スタインバーガーのヘッドレスベースも衝撃的だった。ライブヴァージョンもいいね

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         ちなみにこちらが現在の彼ら。さすがに歳とった

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 アルバム「the hurting」に戻ると、上記のペイルシェルターはもちろんのこと、最後を飾る「start of the breakdown」もまた名曲だ。

 この曲のベースラインは中途でコードを奏でる部分がカッコよく、またサビの「ぷわー」というさりげないフレーズが素晴らしいアクセントになっている。

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 結構な頻度でこのアルバムを聴いていた僕はその後、渋谷のディスクユニオンたまたまこの12インチシングルを発見し、すぐに購入した。こちらは今でも手元にある。

              「the way you are」

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 ジャケットの美しさに感動した。さて針を落として飛び出した曲がこちら。

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 正直、がっかり。ふにゃーというマヌケな音に続き、凝りに凝ったエスニック的サウンドが飛び出したものの、1STの叙情性とキャッチーさが失われていた。結局のところ僕はここで彼らを聴くのを止めてしまった。セールス的にもこの曲は厳しかったらしい。

 しかし一年後、彼らは「シャウト」で見事カムバックを果たし、ビッグなバンドへと成長していった。大学生だった僕はまさかこんなに彼らが売れるとは思ってもいなかったので、洋楽に興味のないクラスメイトが「しゃうと、しゃうと」などと歌っているのを何となくすっきりしない思いで聞いていたものだ。

 

 聴けば今でも当時の思い出がよみがえる

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