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『ガニメデの優しい巨人』/『星を継ぐもの』からのさらなる飛躍!

 先日、J.P.ホーガンの「星を継ぐもの」を読了してこちらを書きました。 

※もし、何らかの興味を持って今回の記事をご覧になる方は、こちらを先に見てください。そうでないと、今回の記事全く意味不明だと思います・・・。

www.otominarukami.tokyo

 そうして、あまりに面白かったのですぐに続編の『ガニメデの優しい巨人

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

 

とさらにその続編『巨人たちの星』

巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))

巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))

 

 コミック版『星を継ぐもの』

星を継ぐもの 1 (ビッグコミックススペシャル)

星を継ぐもの 1 (ビッグコミックススペシャル)

 

 を手に入れ、一日のうち数十分をこの『星継ぐ』ワールドに浸ることに費やしています。

 

        さて、『ガニメデの優しい巨人』の話。

 

             ネタバレしますよ!

 

 小説冒頭、いきなり未知の恒星イスカリス(太陽とほぼ同じ条件を持った星なのだ)が登場し、宇宙船団が巨大な装置を駆使して三方向からなにやらのビームを当てて実験を行っている。ところが何らかの不具合が生じイスカリスは超新星化してしまい、宇宙船団はその星域からの離脱を余儀なくされてしまう。

 ・・・すでに「星を継ぐもの」を読んでいる読者にとってはこの宇宙船がガニメアンのものだということが察せられる。

 

 運の悪いことに彼らの船「シャピアロン号」のメイン・ドライヴは主減速機能の修理が終わっておらず、一度起動させたが最後、自然に減速するのを待つしかない。しかし彼らの推進の原理は時空の歪を機械的に発生させ、その中を落ち込み光速を超えた速度で宇宙を航行するというものであり、もし自然減速に頼るのならばたとえ太陽系にたどり着いたとしても想像を絶する速度でその周りを回ることとなり、相対的にミネルヴァとの時間のズレが生じてしまうのだ。

 

 クリストファー・ノーランの傑作映画『インターステラー』でも、人類の移住可能性を探るために訪れた水の惑星の時間経過がすぐ近くにあるブラックホールの重力の影響で、たった40分程度でも地球時間にして20年近く経ってしまうという描写があった。そしてこのシーンの絶望感は底なしだ。主人公が体験したほんの数十分で母船で待機していた同僚は20歳年上になり、地球の11歳の娘は成人し、息子は結婚し、父親は亡くなってしまっているのだ。

 

 相対性理論は光の速度に近づけば近づくほど、その速度で飛んでいるものの時間の経過が遅くなるという原則があるが(僕レベルの知識です)、シャピアロン号は光速すらも超えた速度で飛ぶ(飛ぶというのは正確な表現ではないかも。ホーガンはシャピアロン号にエンジンのような推進機能を持たせてはいないので)ため、自然減速するのには地球時間にして20年以上かかることになる。そしてその一年がなんと彼らの母星のミネルヴァでは100万年に相当するという計算がはじき出されるのだ。しかしガニメアンの指導者たるガルースは乗組員の生命を第一に考えこの絶望的な航海へと旅立つ。

 

 一方舞台は『星を継ぐもの』で登場した、100万年前にガニメアンの残した宇宙船が発見された木星の衛星ガニメデへと移る。そこでは主人公のヴィクター・ハント博士を中心として宇宙船内で発見された謎の装置に電気的な負荷をかける実験が行われていた。かなりの電気量を流したのにも関わらず、装置は何の反応も起こらない。しかし太陽系内の各地では正体不明の重力波が観測されたという報告が入る。

 結局その装置の正体がわからないうちに今度はガニメデの近くに正体不明の宇宙船が忽然と現れる!そう、なんと2500万年の時空を超えて太陽系に到達したシャピアロン号が重力波をキャッチして姿を現したのだ。

 騒然とする地球人たち。そのうちにシャピアロン号からは卵型の物体が射出され、地球人のJ5基地へと到達する。ハント一行はそれに乗り込み、ついに8フィートの巨体を持つ異星人、ガニメアンたちとの邂逅を果たす。

 

 異星人とのファーストコンタクトを描いているが、ホーガンの宇宙人観は極めてポジティヴなものだ。この頃の小説や映画に登場するエイリアンといえば、基本的には攻撃的で地球を侵略する、人類に危害を与えるというパターンが多い。しかしガニメアンの性格は極めて温厚で知性に長けているのだ。

 

 耳学問で申し訳ありませんが、これ以前の時代に作られたSF作品では、映画を作る側観る側を問わず冷戦下のソヴィエトによる脅威が意識下にあり、それが映画に登場する宇宙人に反映されていたという。だから常に宇宙人は恐ろしい姿で地球を侵略し、そして撃退される(場合によっては『ボディ・スナッチャー』のように街全体が宇宙人に乗っ取られるという救いようのないラストもある)。

 そう見てみると、ガニメアンは1978年のスピルバーグ監督作品に出てくる友好的な『未知との遭遇』以降の宇宙人像と考えることもできるのではないか。

 それにしても『ガニメデの優しい巨人』というタイトルは秀逸だ。

 

 物語を牽引する主人公としてのハントやダンチェッカーたちは、ガニメアンたちの使用するコンピューター「ゾラック」を通じて異星人たちと意思疎通に成功する。そこで前作の『星を継ぐもの』で提示された謎が明らかにされるのだ。

 

 

 いや、あまりに長くなりそうなので今日はここまでにします・・・って『ガニメデの優しい巨人』の記事を延々書いてそれを読んでくれる人、今どれくらいいるんですかね?

 僕の心境とすると、昔ウッチャンナンチャンの南原氏が「やるならやらねば」だったかな、WWF(現WWE)で活躍していたジ・アンダーテイカーのコスプレを披露して「それ知っている人日本に5人くらいしかいないよ!」と突っ込まれていた状況ですよ!

 SFに興味ない人が読んでも面白くないだろうしな・・・。しかもあんまり大したこと書いているわけでもないのに長広舌を振るっているという僕ですがまあいいや、とにかく書くことにします。おやすみなさい☆

 

でも、書かずにはいられない

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