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『キングスマン:ゴールデン・サークル』 紳士×悪趣味=ドーピングされた80Sの007!?

 何かと話題になっている『キングスマン:ゴールデン・サークル」観てきました。

      こちらのBGMはTHE WHOのマイジェネレーション(アレンジバージョン)!

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 とにかく前回の「キングスマンからして荒唐無稽であったけれど、本家の007がシリアス・リアル路線を突き進んでいる今、80年代のあのガジェット満載の007をよりパワーアップしたような内容で今回も話が進む。コメディ要素を絡めつつ、次から次へと事件が起きて、あっという間の二時間二十分。

 ただし、続編なので当然一見さんお断りムービーです。1を観ていない人にとっては全くもって敷居が高い。アマゾンプライムで今なら100円で観られます。ぜひ予習してから行きましょう!「マナーが紳士を作る」。

 

それはそうと、 もう出てるの!

 

 

           注意!ここから激しくネタバレしますよ!

 

 

 前回のキングスマン

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 コリン・ファース演じるハリー(コードネームはガラハッド。アーサー王と円卓の騎士になぞらえられている)に見出され、試練を乗り越え父同様に一人前のスパイ「キングスマン」となったエグジー。しかしそのハリーは教会での大量殺戮のあと、サミュエル・L・ジャクソン演じる悪役のIT長者ヴァランタインに撃ち殺されてしまう。

 

 監督のマシュー・ヴォーン(キックアスなど監督)は音楽へのこだわりが強く、前作でもかなり効果的に使っていた。悪党たちの首がポンポン吹っ飛ぶシーンに流れていたのは『威風堂々』!

 そして、ヴァランタインが生体認証で殺人音波を世界中のスマホから鳴らす時のBGMはKC&THE SUNSHINE BANDの「GIVE IT UP」

 実働部隊の女殺し屋ガゼルとエグジーがシリアスなBGMに載せて戦っているところに、突如「GIVE IT UP」がかかり、笑う。こんな効果的な曲の使い方って、そうそう見たことがない。『パルプ・フィクション』以来かもしれないすごいギャグだ。

 

 オープニング、サヴィル・ロウにあるテーラー「キングスマン」から出てきたところを、前回死んだと思われていたキングスマン候補生(失格者)のチャーリーに突然襲われるエグジー。

 チャーリーは頭を吹き飛ばされなかった代わりに右腕を失っており、その機械の腕でエグジーを追い詰める。狭い車内で偶然カーステレオから爆音で流れるのはプリンスの「レッツ・ゴー・クレイジー」

 このシーンはキングスマンにしてはカット割りがめまぐるしく、チャーリーが車から放り出されるまではちょっと落ち着かない。

 その後エグジーがピカデリーサーカス(多分)爆走するシーンは俯瞰で捉えたものすごいカーチェイスが展開する。そうしてミサイルで敵を撃退したあとは車が池に入っていくのだけれど、これまんま007「私を愛したスパイ」のロータスエスプリでしょ!

     ロータスが人々のいる海岸に上陸するとき、ボンドが魚を遊泳客に渡すシーンの細かい演出が好き。小学生~中学生~高校生とこのようなガジェット満載の007を見続けてきた僕としてはずいぶんと懐かしい展開だ。

 今回の機械の腕のチャーリーはこの頃のボンドの宿敵「ジョーズ」のノリだし、敵のケレン味もこのころのボンドシリーズをアップデートして現代風にした感じだ。

 

 今回の悪役は前回のサミュエル同様、ジュリアン・ムーアというビッグネームを起用。ゴールデン・サークルという麻薬カルテルに君臨するサイコパスの女帝ポピーを嬉々として演じている。それにしてもキングスマンの本拠地をミサイルで破壊するとか大胆すぎやしないか。その結果殆どのメンバー、つまり前作で大活躍し、ファンも多いと思われるロキシーランスロット)さえもがあっさりと殺される。

 残されたマーリンとエグジーは先人の知恵によってアメリカの「ステイツマン」という酒造メーカーの皮をかぶったキングスマン同様の秘密組織とコンタクトをとり、共闘することにする。しかも驚くべきことに前作で死んだはずのハリーが片目を失い記憶喪失状態で保護されていたのだ。

 まあ、知ってましたけど。だって、思いっきり予告編やチラシに載ってたもん、片目サングラスのコリン・ファースが。昔のタモリかと思ったよ。

 ポピーは麻薬の中に毒を混ぜて全世界にバラまき、その解毒剤が欲しければ法的な安泰を与えよとアメリカ大統領に迫る。今回の大統領がまた悪い奴で「ジャンキーどもは死ねばいい」などと言い放つ。女性秘書官がたしなめるが、一向に気にしない。しかもその秘書官も実は毒に犯されていた!そうしてエグジーの恋人である王女ティルデも痴話喧嘩の腹いせでマリファナ?を吸い、感染してしまう。

 

 エグジーの努力で記憶を取り戻したハリーだが前作とは違い、イマイチピントがずれている。あの完全無欠のハリーが!それでもエグジーはステイツマンのエージェント・ウィスキーと三人でイタリアのスキー場の頂上にある解毒剤工場に侵入し、チャーリーの目の前で解毒剤を掠め取ることに成功する。この雪山でのアクションも伝統的なスパイ映画を踏襲しているよね。ボンド映画はよくスキーアクションやロープウェイアクションが出てきたものなあ。

 

 最後はマーリン、エグジー、ハリーの三人のキングスマンがポピーのジャングルにあるアメリカンダイナーへと殴り込むのだが、このタイミングでマーリンは「マイ・ウェイ」を絶唱しながら地雷で爆死。マーリンまさかの犬死に。こんな退場ですか!

 

 最後はエルトン・ジョンまで巻き込んでのフルタイム・アクションのつるべ打ち!思ったよりもエルトン・ジョンがたくさん出ていたし、あまつさえアクションまでこなしていた。すげえな!

 勘を取り戻したハリーとエグジーのコンビネーションアクションは見ていてひたすら楽しい。最後のエージェント・ウィスキーとのファイトも、例によってハイスピード長回しワンカットアクション(多分見た目なんだろうけど)で驚くべき映像体験ができる。

 

 映画料金分は十分楽しめる映画ですよ!

 あと気づいたことをいくつか。

 監督が音楽好きだけあって、イギリスのグランストンベリー・フェスが登場する。バンドの演奏はないけれど。

 相変わらず衣装は豪華。三人がスーツでそろい踏みのシーンは何ともいえないスタイリッシュさ。きっと一着50万~100万円くらいするのでは?

 ピアーズ・プロズナンの頃のボンドってイタリアのブリオーニとかを着ていたけど、こちらはおそらくシャツやスーツはターンブル&アッサーという高級英国ブランド製。僕も欲しいなあ。でもダブルのスーツはさすがに着られない。

 ハル・ベリーが出てた。アクションはなし。

 毒に犯されると変な踊りをするというギャグが面白い。

 相変わらずの人体破壊描写は健在。前作は縦に真っ二つ、今回は横に真っ二つというシーン有り。その他にもかなり生々しく、ブラックユーモアがキツイシーンもあるのでダメな人はダメでしょう。しかもそれがクライマックスの要だという!

 そのへんは大作映画なのに、臆することなく悪趣味に徹していて好感が持てる。前作だってサミュエルは思いっきり画面に向かってゲーしてたしね。 

 とにかく人が死にまくる。それにしてもあんだけキングスマンが死んで、愛犬が死んで、友人も死んだのにエグジーは王女と結婚!薄情すぎる。

 

 とにかく面白い映画でした!エドガー・ライトの「ベイビー・ドライバー」といい、この手のバイオレンスアクションコメディが最近は充実してるね!

 

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公開して一年以上、流石に停滞

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