色々なバンドのことを思い出を絡めて、ヘンな記事を好き勝手に書いている僕だけど、今回、こちらのソトさんからスマッシング・パンプキンズについてのリクエストがありました。僕なんかでいいんですかね。
映画その他に関して、流麗な文体で書かれている方です。
sotoblog.hatenablog.com
なんというか、スマパンみたいに絶大な人気があり、自分も聴きまくっていたようなバンドって、結構書くのにエネルギーがいるというか、例えば、過去NINとかデフトーンズとかキュアーについて書いたら、えらい量になってしまった。
だからきっと、今回もそうなります。書くこと多すぎて。
今現在も活動中のスマパンだけど、実際僕がよく聴いていたのは『メロンコリー~』のアルバムまでだ。もちろん、一度解散をする『マシーナ』まではリアルタイムで追っていたけれど、僕は多くのファンと同様、『ADRE』でええっ・・・となったクチだ。
マシーナに至っては、レンタル。でも結構珍しいのもあるでしょ。ライナセロスのシングルとか。
だから最近の彼らの活動はよく知りません。すいませんねえ。一応、今『オセアニア』アルバムを聴きながら書いているのだけれども、やっぱりあの頃の熱狂はないなあ・・・。むしろ久しぶりに見たビリーのビジュアルがだいぶおじいちゃんぽくなっているのに愕然としてしまった。そしてそんなに彼と歳が離れていない僕も同様に衰えていることを鏡を見て気づき、ドキリとするこの頃。
スマッシング・パンプキンズを僕が初めて知ったのは1993年頃見たrockin‘on系の雑誌の小さな囲み記事だった。この頃は雑誌か、直接CDショップで音源を聴くか、MTVなどの音楽チャンネルかが主な音楽情報源だった。
その記事には
「スマッシング・パンプキンズのニュー・アルバム、『サイアミーズ・ドリーム』が完成!恋人のコートニー・ラブをNIRVANAのカートに取られ(彼らは後に結婚)、バンド内の恋愛沙汰等(ベースのダーシーとギターのジェームス・イハ)数々のトラブルを抱えながらG/Voのビリー・コーガンが泣きながら一人で作りました。いいアルバムです。」
といったことが書かれていた(うろ覚え)。
そのほかにも何かしら僕の気を引く情報があったと思うんだけど、とにかくこの記事でスマパンを知り、いつものように新宿レコファンで彼らの2NDアルバム『サイアミーズ・ドリーム』を購入したのだ。
言わずと知れた名盤
- アーティスト: スマッシング・パンプキンズ
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1993/08/25
- メディア: CD
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これがまた傑作中の傑作で、その後のグランジ/オルタナティヴロックの流れを決定づけた一枚だ。
曲の良さは言うまでもないのだけれど、特筆すべきはそのギターの音色だった。温かみがある歪みとでも言おうか、一音一音が太く濁っているのだ。メタルのようなザクザクいう歪みではなく、太い棒がその音の芯に常に通っているとでも言えばいいのだろうか。まあ、実際音を聴いていただければいいのだけどね。
クワイエット!アイアムスリーピング!
僕は当時このサウンドに酔いしれた。普通ロックギターってコードをかき鳴らしたり、和音で厚みを出したりするのだけれど、ビリーのギターの音は単音で十分なパワーを持っていたのだ。だから『HAMMER』みたいな曲の単音のメロディーが非常に心地よく聴こえるのだ。よく調べればその秘密はわかるのかもしれないけれど、面倒なのでしません。
ホンの少し技術的なことを考えると、おそらくピックアップはメタルでよく使用されるハムバッキング(ギターの音を拾うマイクの一種)ではなく、シングルコイルのピックアップを主に使ってエフェクターやアンプ、ギターの相性などを相当試したと思われる。違うかもしれないけれど。とにかく、ギターの音色だけでそのバンドだってわかる人たち、そうはいないよ。
僕がぱっとそのギターの音色で思いつくアーティストはメタルばかりですが、スレイヤー、メタリカ(特にマスター・オブ・パペッツの音)、パンテラ、エントゥームド、それ以外ではプリンスあたり。そしてスマパンだ。きっとこのバンドたち、ギターの音を聴くだけで区別がつく。それほど特徴的な音作りをしていると言える。
そうしてその音色が十分に堪能できるのがこの2枚だ。
極端なことを言うと、この二枚にスマパンの全ては詰まっていると僕は思う。もちろん、『メロンコリー~』アルバムは極上のロックアルバムだけれど、こちらの2枚の方がそこに辿り着く前の、エネルギーとアイディアに最も溢れていたバンド(=ビリー・コーガン)の状態がビシビシと伝わってくるのだ。
『サイアミーズ・ドリーム』はほぼ完璧なアルバムだ(偉そうですいません)。なぜほぼ、というのかといえば、僕、9曲目の『MAYONAISE』まで聴いたら、大体止めちゃうんですよ。まあ、このあとの『SPACE BOY』も『SILVERFUCK』もいいんだけど、なんかテンションが続かないというか・・・。
でも、そこまでのこのアルバムの流れは究極のロックアルバムといっていいほどの名曲群がバランスよく次から次へと繰り出されるのだ。
やけに明るい一曲目の『天使のロック』(実はこの曲もたまに飛ばす)からの『クワイエット』(前述の曲ですね)。やはりこのクワイエットでのギターの音がすごいよね。リフもシンプルでいてグルーヴがビシビシ伝わり、曲間では変拍子をバックにビリーのサイケなソロが炸裂!
スマパンってもうひとりのギター、ジェームズはソロを取らないでバッキングに徹してるんだよね。まあ、ビリーのソロ、センスがいいしギターも彼の方が上手だしね。ビリーがライヴでソロを弾いているところなど、しびれるくらいかっこいいもんなー。
そうしてドラゴンアッシュもサンプリングした『TODAY』。
このビデオ、なんかさみしいんだよね。きっと当時のビリーの心情が反映されているに違いない。
ちらりらちらりらというペナペナギターの寂しいフレーズに一気に太いあのギターの轟音がかぶるのは爽快さしか感じない。僕は昔この曲をコピーし、バンドでギターを弾いたが、エフェクターを踏んで音を濁らす時の気持ちよさったらなかった。このクリーントーン→ディストーションはニルヴァーナ、スマパンあたりでかなりブレイクしたよね。ロックミュージックの典型的展開となった。
意外にあっさり終わる『TODAY』のあとに来るのが僕が大好きな『HAMMER』だ。
イントロの東洋的フレーズからのふぁー、というギターのリフがもうたまらない。
このゆったりとしたテンポの曲は伸びやかなフレーズがイントロに置かれていてそのまま中間部の劇的なソロへとつながる傑作!そしてさんざ盛り上がったあとに美しいクリーントーンのソロが心に染み入るように響く。
・・・ええと、案の定軽く3000字を越しましたのであと2~3日くらいかけてスマパンを語ります。続きはまた明日。
ロックマインドはメタルも一緒