イエスは歴史のある、偉大なロックバンドだけれど、僕のリアルタイムはこれだった。
衝撃的だった。新ギタリストのトレヴァー・ラビンの貢献が大きいけれど、このイエスの復活劇には同時にもうひとりのトレヴァー=トレヴァー・ホーンの存在が欠かせなかった。
ジャン!ジャラララララン!とハイスピードで鳴る多重音は当時かなり話題になったサンプリングで、フェアライトというサンプリングマシーンが大活躍している。トレヴァーは元々、元祖イエスのヴォーカル、ジョン・アンダーソンの抜けたバンドに加入したシンガーだったんだけど、プレッシャーで脱退。ZTTというレーベルを立ち上げプロデューサー業に転向し、そのつてでイエスも手がけたのだろう。そうしてこのアルバムは大ヒット。
以降、このサウンドがトレンドになり、80Sの多くの曲にはあの独特の電子音やエレドラの打撃音に絡まって独特の空気感を感じられる。
気がついてみれば当時僕が聴いていた音楽も彼の手によるものが多かった。高校生の頃から、とにかく新しい音楽に飢えていた僕は彼の作り出す最先端の音楽を知らず知らずに享受していたわけだ。
例えば80Sをまさに体現しているフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド。
金属的なベースラインはやっぱりフェアライトなのだろうか。
ABC(懐かしい!)。
しゅっだぽいずなろーとぅまいはーあはあー(サビです)
など当時のヒットチャートを賑わしていたバンドは彼の息のかかったものが多かった。そして、彼の名前を知らなくてもミスターマリックのテーマとして知られているこの曲はあまりにも有名だ。
「レッグス」という意味不明のタイトル。
アート・オブ・ノイズ。その先鋭的音作りはアバンギャルドとポップの絶妙なバランスの上に成り立っていた。そんな音を使うのか!という新鮮な驚きに満ちたバンドだった。
もうかなり昔のCD
やっぱり、こっちのほうが好き。これも有名。
で、一番好きなのはこの曲。こういうまったりとした曲、好きなのです。イビサ系?
ところでその頃、丁度僕が敬愛する作家、筒井康隆氏の「三人娘」という作品がテレビドラマ化された。主演はきたろう氏。調べたところ、放映は1986年3月18日となっている。30年前!
中学2年生で筒井作品に目覚め、高校生の時には図書館に毎月配本される全集を読みあさった若きツツイストであった僕は、かなり期待してこのドラマを見たはずだ。
しかし実際に筒井ワールドを映像化すると、陳腐化してしまうケースが多いので当然見た感想は「・・・・」だったんだけど、そのドラマのBGMがアート・オブ・ノイズだったのだ。上記のモーメンツ・イン・ラブも使われていた。もうそれだけの印象しかないのだけれど、筒井康隆作品とアート・オブ・ノイズの組み合わせは意外にマッチしていた気がする。場面によっては音が強く感じられた時もあったが、それは僕がアート・オブ・ノイズを聴いていたからなのだろう。
さて、そのトレヴァー・ホーンがプロデュースしたバンドの中に一風変わった個性を持ったバンドがいた。プロパガンダだ。
知ってる人いますかね?
サウンドは例によってフェアライトを使った当時最先端の曲なんだけれど、ドイツ人メンバーがいることで、ややゴシックな雰囲気も醸し出していた。初めてこの曲を聴いたとき、いやこの曲のサビ後のフレーズを聴いた時のインパクトはかなり大きかった!
1:15あたりからのフレーズが神がかっているのだ!
この部分を聴きたいがために何度もレコードの針を戻したものだ。パーッパパッパパパパパパ!というこのオーケストレーションはよほど受けたのだろう、確か日産マーチのコマーシャルで使用されていたはずだ。僕はすぐに「あっ!プロパガンダだ!」と思ったものだ。そういえば、このビデオ、トーキングヘッズの「STAY UP LATE」に似てる。
吊るされ系っていうの?
吊るされ系で思い出したヴェルカーソルト。歌メロがNINのHEAD LIKE A HOLEにそっくり。
こちらもガンガン吊るされてます
だいぶ脱線してしまった。プロパガンダの話。
次に見たプロモの曲もダークでメランコリーなエレクトロサウンドで、今聴いても十分にカッコイイ。
最初のP:MASHINERYとこの曲ですぐにレコード買った。
やはりこのバンドの特徴としては曲間のフレーズが印象的なものが多いということだろう。この他にもDUELという曲のプロモがあるんだけど、そちらは妙に明るい曲調で僕はイマイチ好きではないので割愛。
しかしこうやって昔聴いていた80Sのバンドをたどると、次から次へと芋づる式に他のバンドへとつながってキリがないです。
80S関係ないすけど