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ファットボーイスリム=ノーマン・クックの仕事

 大学生のころ、薬局でアルバイトをしていた。小さな薬局だったけれどチェーン系列の店だったのでお客さんはよく来た。この頃の経験を僕の書いたヘビーメタル小説にも盛り込んだんだけれど、今考えると良い社会経験だった。

 

主人公のユリカはギターを買うため薬局でアルバイト

kakuyomu.jp

 

 いろんなお客さんがいた。

 咳止めシロップの「ブロン液」という薬があって、今はもう成分が変わっているのだけれど、それを一気飲みするとラリるという噂があった。そして、どこから聞きつけてきたのか、かなりの頻度でブロン液を買いに来るハーフの青年がいたのだが、あんまりしょっちゅう買いに来るので、見かねた店長が説教していたっけ。

 

 

 外人のおじいさんが来て一言

「BUFFERIN!」

 とむちゃくちゃいい発音で言ったあと、値段を見て

「タカイ!」

 とボヤいた。

 

 

 ガシャポンに小学生がこちらを伺うようにして群がっており、どうも挙動が不審なので店員と一緒に見に行くと途端にクモの子を散らすように逃げ出したので二人で追いかけて二人を捕まえると、牛乳のキャップをコイン大に切り取って詰め込んでいたのだ。控え室で店長に説教され、号泣していた。

 

 

 商品の箱の裏に書いてある注意書きを全て読み上げる小学生がいた。「君、どうしたの」と声をかけると逃げるように店を出ていき、他の店で同じようなことをしていた。

 

 

 4年くらい働いていたので他にも色々あったのだけれど、それはそれとして、店では常にFMラジオのJ―WAVEチャンネルがBGMとして流れていた。そしてある日、僕の耳を捉えて離さない曲が流れていた。曲の途中まで聴いてあんまり良い曲だったので「この曲誰か知りたい!」とラジカセに張り付くようにしていると、「ビーツ・インターナショナルの『DUB BE GOOD TO ME』でした」という言葉を聴くことができた。僕はすぐにメモをして、新宿レコファンへ走り、すぐに手に入れた。これがノーマン・クックの仕事との出会いだ。

 

          アルバムとシングル。どれも今聴いても素晴らしい。

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      で、これがその曲。ベースがプロジェクトの中心人物、ノーマン・クック

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 いつ聴いても素晴らしい曲だなあ!

Let Them Eat Bingo

Let Them Eat Bingo

 

 

 ノーマン・クックといえば、最近はとんと出していないけれども、「ファットボーイ・スリム」としての活動が最も有名だろう。いわゆるケミカル・ブラザースに始まる「ビッグ・ビート」(ざっくり言うとテクノの中でも特にドラムサウンドを強調し、大仰な音響とブリブリいうベースにロックの熱さがプラスされたようなサウンド)の立役者だ。

 

 ちなみにいつかケミカルについては書こうと思うけど、書く事ありすぎて中々こういう大物に取り掛かれないのです。それぞれ1万字くらい書いてしまいそうで、書きあぐねているビッグネーム、まだ沢山いるのですよ。スマパンプロディジー、TOOL、ニルヴァーナアンダーワールドetc・・・。

 

  それはそうと、あまりに衝撃的だったケミカルブラザースの「SETTING SUN」。これこそビッグ・ビート!ヴォーカルはOASISUのノエル・ギャラガー

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 ただ、ビーツ・インターナショナルの頃はまだ大仰なドラム・ビートはなく、しかしセンスのよいハウスサウンドが満載の良質なアルバムだった。かなり僕はこのアルバムが気に入って聴き込み、『DUB BE GOOD TO ME』はマキシシングルも手に入れた。ロングヴァージョンやミックスが満載でかなり満足度の高いものだった。

 

             この曲大好き。曲調はハウス。ハッピー!

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 ただ、この頃はビーツ・インターナショナルというグループとしての認識で、ノーマン・クックという名前はまだ知らなかった。その後彼らはもう1枚アルバムを出してそれきりだった。

 さて、それとは別に僕がその頃音楽情報の拠り所としていた「BEAT UK」を見ていたら、ヒット中のこのバンド、FREAKPOWERの「TURN ON,TUNE IN、COP OUT」がかけられた。

 

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 はげのおっさんが心地よいポップスをのんびりと歌っているではないか。何かいいじゃん!僕はすぐにこの曲が気に入り、再びレコファンで購入した。

 

名盤!

Drive Thru Booty

Drive Thru Booty

 

 

 どうでもいいが、(僕はどうでもいいことばかり書きます)このビデオを後輩に見せると彼は開口一番

「うわ!このおっさん、ウチの親父にそっくり!オヤジいつのまにバンド組んでたんだ!」

と言っていたのも懐かしい。そうして、このバンド、ノーマン・クックが絡んでいたのだ。

 

 そうしてその後、ビッグビートの波がやってきて、彼は「ファットボーイ・スリム」としてブレイクするのだ。

 

「パルーカヴィル」とか、ほかにもアルバム持っているはずなのに見当たらない。

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               まさにビッグビート

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 ドドタドドン!ドドタドドン!と腹に響くドラムにテクノサウンド。それでいてキャッチー。

 

        ファットボーイスリム、ビデオが面白い。

 

ケミカルの「DO IT AGAIN」もこんな感じだった。音楽を聴くと勝手に体が反応するというタイプ。

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          スパイク・ジョーンズ監督が自ら踊るプレイズ・ユー

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     こちらはまさかのクリストファー・ウォーケンがダンス!ダンス!ダンス!

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 僕の大好物のこのサウンドは多くのフォロワーを生み出した。例えば、ベントレーリズムエースとか、ハードノックスとか、ジャックナイフリーとか、アポロ440とかジャンキーXLとかプロペラヘッズとかそれぞれ買いましたけれども。でもやっぱりケミカルとFBSには及ばないんだよなー。

 

 僕の持ってるビッグビート関連。カシアスはちょっと違うかもしれないけれど。プロペラヘッズ(下段右)、いいバンドなのにこれ一枚なんだよね。

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 最近はアルバム全然出してないのであんまり表舞台に出ている感じではないけれど、DJとしての活動はあるので、イベントではかなりの動員があるそうです。