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小説「ヘビーメタルと文芸少女」がそこそこ(5000PV超えた)読まれてる。そしてメタリカ!

 このブログを続けて読んでくださっている方はもう嫌というほどわかっていらしゃるでしょうが、僕は角川の「カクヨム」という小説投稿サイトで『ヘビーメタルと文芸少女』という素人小説を公開している。


kakuyomu.jp

 二年以上前に、ぼんやりと形になってきた物語に言葉で形を与え、とある文学賞に投稿したが軽く落選。それで去年の11月末にウェブに投稿し始め、同時に宣伝を兼ねてこのブログを開設。カクヨムコンテストの最終選考に残ったものの、やっぱり落選。そんな物事うまくはいかないよね!

 でも、おそらくこのブログ経由でコンスタントにPVは増えています。そうしてこの間なんと5000PVを超えた!まあ、123話もあるんだからそれに比例してのPVなんだろうけど、それでも最後まで読んでくださった方が30人近くいらっしゃるということに感謝したい。発表しなきゃゼロだもんね!

 一旦終了した小説がカクヨムで読まれるには相当の人気がないとダメだろうに、まだ読まれてるんだから、このブログを続ける意義はあった。というか、今メインの活動、このブログだけど。

 

ということで勝手に5000PV突破記念として、この小説をもっと読んでもらおうというキャンペーンを今日明日自己満足的に張ります。

 

 このお話のあらすじ

 文学好きでヘビーメタルを愛し、プロ並みのギターの腕前を持つ高校一年生の大石ユリカ。内向的な性格ゆえにその才能を発揮する機会がなかった彼女は中3の時に渋谷霊徳学園の学祭を訪れた際に、偶然メタリカコピーバンド「デスピノ」のライヴを体験し衝撃を受ける。ヴォーカル・ギターのマヤ、ベースのソメノに憧れ、学園に入学した彼女だったがデスピノの所属する軽音楽部が活動停止になっている事実を知り、途方に暮れる。成り行きで文芸部に入部した彼女であったが・・・。青春ヘビーメタル文芸エンターティメント!

 

 まあ、ヘビーメタルという言葉がある時点で読者を選んでますが、その後の「文芸少女」でそれを中和する狙いアリ。戦車と美少女を取り合わせて人気が出るなら、ヘビーメタルと女の子を絡めてもいいじゃないか!

 

 あとネックとなるのはこの小説ではメタリカがもうひとつの主役なのだ。

 

Master of Puppets

Master of Puppets

 

 

 結局そのメタリカの曲を知らないとイメージが湧きにくい。ということで、僕がこのお話で紹介しているメタリカの曲と共に場面を紹介するよ!

 

              まずはバッテリー。

 

     www.youtube.com

 

さて、この曲を聴いてから、「ヘビーメタルと文芸少女」の冒頭の部分をお読みください。面倒くさければ飛ばしてください。

 

       

      ヘビーメタルと文芸少女(冒頭)

 

 

 

          メタリカMETALLICA

 

 アメリカのヘビーメタルバンド。メンバーはDr・ラーズ・ウルリッヒ/G・Vo・ジェームズ・ヘットフィールド/G・カーク・ハメット/B・ロバート・トゥルージロ。ヘビーメタルバンドの王者として数え切れないほどのバンドに影響を与え続けている。アルバムのトータル売上枚数は1億を超え、現在も精力的に活動中である。



   ロロン・・・ロン・・ロン・・ロンロン・・・

   ロロン・・・ロン・・ロン・・ロンロン・・・

 

 先週、高校の入学祝いに買ってもらったアイフォンを差したスピーカーから流れる「バッテリー」のガットギターの静謐せいひつな調べがユリカを浅い眠りの底から引き上げようとする。

 

   ロロン・・・ロン・・ロン・・ロンロン・・・

   ロロン・・・ロン・・ロン・・ロンロン・・・

 

 ユリカがこの曲を初めて聴いたのは、パパのロードスターに乗って、相模湖へ2人でドライブに行った小学校2年生の時だった。

 まどろみの中で、あの時の記憶が鮮明に蘇る。

 日差しは新緑を萌えたたせている木々にさえぎられた湖畔の道路へ、ルノワールの絵画ふうに木漏れ日を落とし、屋根をたたんだ車から時折見える空はどこまでも青く澄みきっていた。

 「ユリカ、ちょっとこのケースからCD出して。」

 おもむろにパパがダッシュボードから取り出したそのアルバムのジャケットには、草原に無数の十字架が並んでいる情景が描かれていた。オレンジ色がかった空には巨大な手が現れ、その指先からは墓標の数だけの糸が垂れ下がっており、正面には「METALLICA」とあの有名なロゴが掲げられていた。もっとも、彼女にはそれが何を表しているかはさっぱり見当がつかなかったが。

 それまで聴いていたレッドホットチリペッパーズをイジェクトし、言われたままユリカはCDをセットした。

 

   ロロン・・・ロン・・ロン・・ロンロン・・・

   ロロン・・・ロン・・ロン・・ロンロン・・・

 

 今聴こえているメロディーと全く一緒だ・・・彼女は枕に顔を埋めながら思い出す。パパとドライブする時は、パパの好きな曲がかかるから、ちいさなユリカはいつもと同じように何も考えず、手にしたジャケットを眺めながらそのメロディーに聴き入っていた。E/Fコードに乗って頬をなでるような、心地よいメインの旋律が入ってくると、初夏の清々しい陽に光る相模湖を左手に見下ろす風景と相まってユリカは最高の気分だった。いつまでもこのまま静かに時が流れていくと思われたその瞬間・・・。

 

 ドーン!ドドドーン!

 

 突然大音量の荘厳なディストーションギターサウンドと、シンバルとタムの重い響きが彼女の度肝を抜いた。

「わ!びっくりしたー」

 思いもよらぬ超重量級の轟音ギターの響きにユリカは目をぱちくりとさせた。パパはその反応を見て大笑いしている。そのまま曲はヴォーカル/ギターのジェームスヘットフィールドが奏でるズッズクズッズクという鋭角的なリフに突入し、BPM190というハイスピードでドカドカと疾走し始める。ユリカは良くはわからないが、とにかく純粋にカッコイイ!と思えたので素直に

「パパ、この曲かっこいいね!」

 と大音量の中、声を張り上げてパパに話しかけた。パパは

 「おおっ、ユリカにもわかるかい?この曲はね、メタリカっていうバンドがやってるんだ。」

 といかにも満足そうで、ジェームスと一緒に歌い始め、「バッテリ――ィヤ!」と叫んだ。

 「へえ、メタリカか・・・」

 

 長くてすいませんねえ。読みながら曲が勝手に流れる機能とかないのかね。

 

 次に最も重要な曲としてのマスター・オブ・パペッツ。僕はこの曲を、というかこのアルバムを(なんかリマスター盤が出るという)生きているうちにあと100回以上は聴くでしょう。

 

                         もはやヘビーメタルの古典。

                 www.youtube.com

 

 この曲を都合3回この小説の中でライヴ曲として描きました。こんな感じで。ちなみにこの場面は高校生のバンドが野音に出演しメタリカを演奏するという夢のようなシチュエーションです。

 

 ダン!ダッダッダー!

 それは今まで彼らが出した中で、最も大きい音だった。

 初秋のすきとおる青空の下、電気の力で歪み、巨大なPAアンプで増幅されたギターの轟音が東京のど真ん中で響き渡った。突然湧き起こった地響きのような音に、音楽堂の裏手にいた鳩たちは一斉にばさばさと飛び立った。

 ズンタン、ズンタンというキイチのリズムに載せてマヤとソメノとユリカは正確に一六分音符を刻みながら、日比谷野外音楽堂の広いステージで歌舞伎の連獅子のごとく頭を振る。

 観客のほとんどはヘビーメタルを初めて見たり聴いたりする人たちばかりであったが、目の当たりにした異端の音楽の迫力に戦慄すら覚えていた。そしてそれを演奏しているのがハイティーンの女子高生であるということもあって、ただただ、呆気にとられてステージで繰り広げられている爆音の饗宴を注視するばかりだ。

 

“エンドオブパッションプレイ!クランブリングアウェイ!”

 

 長いイントロのあとに、宴の司祭たるマヤがそのエレガントな姿からは想像もできない力強く、芯のある歌声を披露すると観客はまた別の驚きに襲われた。野外音楽堂という大きな会場ではあっても、マヤのヴォーカルはバンドがマシンガンのように放つザクザクという重金属音に埋もれることはなく、むしろそれを鎧と剣として一層パワフルさを増し、聴く者の耳を無差別に震撼させた。しかしその声色は決して攻撃的に響くことはなく、まるで中世の騎士が白馬に乗り、自らの命を顧みず敵に向かってゆくような豪放な勇壮さを連想させた。

 そしていまや完全にデスピノの一部となったユリカは、バンドのサウンドの要としてその役割を十二分に発揮していた。あれほど悩んだダウンピッキングを信じられない速度で刻み、マヤと寸分たがわぬリズムで曲を先導してゆく。2千人を前にしても、最早ユリカはひるむことなくギターを弾くことができた。他の3人のメンバーとの一体感と、それまでの練習の積み重ねによる自信がそれを可能としていた。

 

 ・・・てな感じですね。

 メタリカ好きなら、メタルが好きならそれなりに楽しめるんじゃないでしょうか。

 ということであまりに長くなってしまったので続きは明日。読んでくれます?あと、誰か出版して!