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シンガーソングライターなるかみ まさかの昔作った曲を公開

 実は今日で連続100日投稿達成。「ブログは毎日続けると良い」説を実行し続け、いつの間にか達成。つっても特別何があるわけではありあませんが、いちおう無理矢理記念企画やります。

 

 えー、今回は恥ずかしながら僕が昔作った曲を公開します。二十代前半~三〇位の間に、あんまりヒマだったので80曲くらい作った時代があったのです。それこそ二十数年くらい前に作った素人の作品なので拙いものですが、小説同様、パソコンの中で朽ちさせるよりは少しでも多くの人に聴いたいただき、僕の存在証明を残したい。ただ、前置きが長いのです。何かの縁でこのブログを見ていただいた方、辟易せずに一市井人の魂の叫びに少々お付き合いください。

 

 僕が大学在学中、仲間内でオリジナルソングブームが起こっていた。元々僕の参加していたバンドの中心人物がMTR(マルチトラックレコーダ)を買って曲を作ったのが始まりだ。当時はそうやって彼が作った曲を僕らがコピーして演奏していた。

まさにこのモデル。時代を感じるなあ。カセットテープで多重録音!

 

TASCAM カセットMTR 414MK2

TASCAM カセットMTR 414MK2

 

  

 このMTRというものは革命的だった。高校生の時、ラジカセを2台使って多重録音をしたことはあったけれど、きちんと曲になるのは夢のようだった。

 

 その僕が一緒にやっていたバンドリーダー、それは才能のある男で、バンド自体は鳴かず飛ばずで終わったものの、今現在、彼はある形で世に出ている。

 そして彼の弟はもっと才能を開花させ、音楽プロデューサーとして大成功を収めている。誰もが知っているアノ曲も、彼の弟が作曲したのだ。もう一生食いっぱぐれないほど稼いでいるに違いない。それに比べて僕は毎日をなんと地味に、精一杯生きていることか。友がみな我より偉く見ゆる日よ。

 

 一時期僕の小説が成功すれば再びかの友人に会えるかなとも思ったこともあったが、現実というものは中々うまくいきません。そこそこの僕は、きっと一生そこそこで生きるしかないのだ。

 まあそんなゴミのような嘆きは別として、僕も自分で曲が作りたくなり、同じMTRを買ったのだった。しかし、曲を作るというのはそれだけでは済まないのだ。まず、ドラムマシンを購入する必要がある。当時買ったモデルがこれ。

 

Roland Dr.Rhythm DR-670(J)

Roland Dr.Rhythm DR-670(J)

 

 

 これは値段の割に音もよく、操作性も抜群だった。名機。何度か壊れて僕今三台目所有。娘にいつか譲る。

 当時はすでにギターもベースも持っていたし、キーボードとしてカシオトーンも持っていたのですべて機材は揃った。さあ、作曲するぞ!

 

 最初に録音した曲は今思い出しても酷かった。腐ったニューウェーブのような曲で、延々退屈なリフが続き、最後に少しだけドラムとギターで盛り上げるというものだった。しかし、せっかく作ったので友人たちに聞かせたところ、概ね不評・酷評で「いったい何がしたいんだ」とまで言われる始末だった。まあ言われても仕方がないレベルの曲だったのでそれは甘受し僕はくじけずに試行錯誤しながら作品を作り続けた。

 

 次にメタル系の曲を何曲か作ってみた。適当にリフを考え(SODとかのパクリっぽいやつ)エイトビートから途中でツービートの高速へとなだれ込むZ級スラッシュメタルに仕立て上げた。

 タイトルは『殺人ブルドーザ』とか『スポンティニアス・コンバッション』(意味:人体自然発火。ジョン・カーペンターのマイナーホラーのタイトルからいただいた)などとバカ丸出しのものだった。ちなみにこの曲名を最近書いた小説で使ったけど、

 

kakuyomu.jp

 

 その小説も鳴かず飛ばず。歌詞は今思い出しても失笑もので、たとえば

 

    やつは殺人ブルドーザー!もとより慈悲などありはしない!

 

といったおよそ最高学府に通う若者としては低次元もいいところだった。

 

 そうやって作る曲作る曲がどうしようもなくて、7万くらいかけた機材が無駄になるのではないかというおそれが出てくる。実際、そういうふうに無駄にした人も多いはずだ。

 

 そんなある日、僕はヒマに任せてガットギターを弾いていたら、なんとなくいいコード進行を発見した。「おおっ、これはもしかしていい曲になるぞ!」と夢中になってコードをつなげなんとか一曲完成にこじつけた。その曲は僕が思うに、今までとは比較にならないほどいい出来だった(個人の感想です)!

 

 まあ殺人ブルドーザーよりマシだと思い、その後もドラムトラックを打ち込み録音、ベースを重ね、ギターを重ねるという自宅レコーディングに没頭し、5時間くらいかけてトラックを完成させた。最近はとんとこういうことをするエネルギーが枯れてしまったけれど、曲が少しずつ完成していくプロセスは非常にエキサイティングだった。

 

 さて、残るは歌詞である。殺人ブルドーザーみたいなやつじゃなくて、もう少し歌っても恥ずかしくないレベルのものを乗せたい。

 

 その当時、新入生で変わり者がいた。仮にヒサシと呼んでおくけれど、彼は新入生歓迎会に白のスラックスに黄色いチョッキという素晴らしいファッションセンスで現れ、「僕は高校生の時モテモテでした」などと吹聴し、モテない君が揃っていた我がサークルでは珍しいタイプだった。

 ヒサシは別に特にハンサムというわけではないし、むしろ冴えない風貌だったのだがその言動と、どこかズレたギャグセンスで(僕の周りの友人達のギャグレベルは非常に高かったので、つまらないヤツは見下されたのだ)さっそく飲み会で浮き始めた。しかし本人はそんなことお構いなしに独特のデッドギャグを飛ばしモテ自慢をし続けたので、「うるせーよ!お前飲めよ!」としこたま飲まされる事態に陥っていた。

 

 ちなみにその新歓は大学の構内にある桜並木の下で行われていたのだけれど、折しも別の友人が酔っ払って、近所のおばちゃんショップで購入し、普段着として着用していたのヒョウ柄のスパッツ(これ自体がもうギャグだった。上着がMA1なのにパンツがヒョウ柄のピチピチのスパッツという最先端のファッションは学内でも異様な目で見られていた)の片方に両足を突っ込んで「魚!魚!」と叫びながら地面を転がり泥だらけになるという意味不明のパフォーマンスを始めだし、周りの別のテニスサークルから嫌われていたところだった。

 ひねくれ者の僕らは、それを見て拍手喝采をしつつ腹を抱えていたのだが、突然誰かが「ヒサシ!お前もやれよ!」とけしかけた。すると泥酔したヒサシは「はいー!」と一緒になって横になり、黄色のチョッキをドロドロにして、さらに場のカオス度合いを高める始末。

 結局帰りは仲良くみんなで泥だらけのまま京王線に乗って帰ったが(迷惑)、今思い出しても僕の大学時代は輝いていたのだなあ。

 

 このイニシエーションを経てヒサシはサークルに入ったのだが、当然そのセンスは変わることはなく、いじられキャラとしてその地位を確立し始めた。ヒサシが口を開けば「お前ツマンネーんだよ!」とことあるごとに罵倒されていたが、ここが気に入ったのか彼はめげることなくサークルに顔を出し続けた。

 

 ある後輩などは特にヒサシに厳しく、飲み会で酔っ払うと

「ねえ、好きなアルファベット言って!」

 とヒサシに向かって聞き、ヒサシが

 「Aですかね」

 と言うやいなや「ウィーヨンウィーヨンウィーヨン!」とヘンな効果音を口で言いながらヒサシの眼鏡を奪い取り

 「エー!」

 と叫んでメガネをAのカタチに曲げるというとんでもない仕打ちをやっていた。しかし、それでもヒサシはサークルに残り、前述のヒドイ後輩と一緒にバンドをやっていたりした。

 

 だいぶ長いエピソード紹介になってしまったけど、曲が完成した時に、この僕の初めての会心作を彼に捧げようと何故か思いたち、歌詞を考え、アパートの押し入れにこもり毛布にくるまって歌を歌い完成させたのが以下の曲「いじめないで」です!

 

 プレイボタンを押せば再生されますよ。音質は良くないし、歌はヘタ(なんか声聞かれるの恥ずかしいっすね)、演奏はアマチュアの大学生です。

 しかもこのインターフェイース、ボリュームの調節方法とかよくわからない。HPにダイレクトに飛ぶと調整できます。でも、面倒くさいよね・・・暇つぶしにどうぞ。

 

soundcloud.com

 

                 いじめないで 

 

           作詞・作曲・演奏・歌  なるかみ音海

 

          僕の心をわかってほしい

          べつに悪気があるわけじゃないんですう

          だけどどうして みんなぼくを

          そんな目で見るの おねがい

 

          chorus

          いじめないで (僕の心はガラス玉)

          きらわないで (一緒に楽しく過ごそう)

          いじめないで (もっとお酒が飲みたいな)

          きらわないで (ぼくはここが好きだよ)

 

          いつの間にかアウトサイダー

          ゲマインシャフト入れない

          ぼくがそんなに嫌ですか?

          いったい何が気に入らないの?

 

          仲間がほしい

          慰めて欲しい

          仲間がほしい

          もっとよく僕を見て

 

 

 お粗末さまです。この曲はその後、僕がVO・Gtで結成したバンドの最後に必ずやる定番の曲になった。ヒサシの話も面白いのが沢山あります。曲もたくさんありあます。順次公開していくつもりです。

 

ちなみにヒサシは去年の12月に第一子誕生とのこと。

 

もっとメジャーに!

kakuyomu.jp