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箱根父娘ふたり旅 彫刻の森へ 2

 引き続き彫刻の森での不思議な世界。

 鯉にエサを食わせまくったあと、林の中を抜けようとすると突如現れた不気味な影。

  

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              うわ、モモンジイだ!

 

            昔読んだ妖怪図鑑の恐怖が蘇る!

 

 ・・・しかし作品プレートを見ると、西行と書いてあった。

 まさかの漂白の詩人に、こんなところでお目にかかろうとは。妖怪と間違えてしまって、すいません円。

 

       心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ

 

 娘に対して得意げに三夕の歌の一つを暗唱してみせるも、殆ど聞いていない。なぜなら彼女はその先にある施設に対する期待値が異常に高まっていたから。その施設とは。

 

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 はい、いんちきムーミンみたいな(失礼)ミロの彫刻の向こうにあるのがそれです。では中に入ってみましょう。

 

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 なにこれ。すごい。全部網で出来ています。で、子供はこの中に入って思う存分遊べるという体感型のアート。子供に大人気!中に入るとこう。

 

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 これ子供は楽しいよね。でも子供があんまり自己破壊的にやたらめっぽう駆けずり回っているので、時にぶつかったりしている。

 その日は鼻血を出したのか、ティッシュを鼻に当て、おじいちゃんや兄弟に、冷やすためなのか顔中お茶のペットボトルを当てられている子供がいた。大事には至らなかったようだが、怖いね。一応監視員の人がいて、危険行為は注意される。

 

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               おとうさーん!揺らして!

 

 よおし!と子供の要求に全力で応える僕。やめてー、というくらいのレベルで前後に揺らす。ゲラゲラ笑う子供。ああ、ここに来てよかったねえ。しかし・・・

          

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  すぐに体力の限界がやってきて、そのまま即身仏と化すアラフィフおとうさん。

 

 娘は延々一時間半ここで遊び続け、最後には知らない男の子たちと友達になって走り回り続ける。子供の体力底知れない。

 

 お腹が流石にすいたので一旦、レストランへと向かう。エントランスがまたかっこいい。

 

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 横の部分に「のぼらないでください」と書いてあったが、いきなり登っている男の子がいて、母親に「ひらがなでのぼらないでくださいって書いてあるんですケド!」と怒られていた。

 ここで彫刻の森での食事について。

 レストランは二つ。一つはバイキング形式の食べ放題。大人1980円!ここでそんな大枚払って、お腹いっぱい食べないでしょ。しかも夜泊まるんだからホテルのご飯が食べられないよ。そこでもうひとつの洋食レストランへ行くが、メニューが10種類くらいしかない。スペアリブ、カレー、パスタのどれか。しかもそこそこ高い。観光地だから仕方がないね。

 子供はあんまり食べられないだろうからお子様カレーにしたら幼稚園児に出すようなセットで「カレーが甘い」と言ってほとんど食べない。結局僕の頼んだスペアリブを半分くらい食べてカレーセットは無駄に。

 まあ、正直食事はイマイチでした。節約するならお弁当でもいいかも。

 

         さて食事のあとは「ピカソ館」へと向かう。

 

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 道すがら、「俺あんまりピカソ好きじゃないんだよなー」などと言っている人とすれ違う。

 僕は「好き嫌いを言えるほどピカソの作品について知っているのだろうか」と思っていたら子供が

 さっきの人「俺あんまりピカソ好きじゃないんだよなーって言ってたね」だって。その後しばらく娘とふたりで「俺あんまりピカソ好きじゃないんだよねー」と言うギャグが流行る。

 

 ピカソ館は撮影禁止でした。僕は「シンバル遊び」という彫金作品がお気に入り。

       

       さて、ピカソ館の前には大きなお花がいらっしゃる。

 

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 この作品はピカソではなく、フェルナン・レジェという人の『歩く花』という作品。知らなきゃピカソの作品かと思うようね。

 

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            君たち、ちゃんと鑑賞しろよー

 

 歩く花にもたしなめられたので、近くのロマンスカー・ギャラリーへ。館内はカフェが併設され、冷房が効いて快適。しかも二階には、おもしろ彫刻(失礼)がたくさんある。中はこんな感じ。

 

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 小田急ロマンスカーといえば、やっぱり僕は手前のオレンジ色の車体。小学生の時、よく利用した小田急柿生駅で「ピンポンパンポーン」と鳴らして通り過ぎるロマンスカーを「かっこいいなあ。乗りたいなあ」と思いながら眺めていたっけ。

 

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   彼女の名前は「アリサ」。細くて足が長い。ベルボトムがイカしている。

 

  その後、隣にある足湯で一休み。温泉なので気持ちがいい。

 

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 しかし、僕はこの時嫌な予感がしていた。というのは、この先にピサの斜塔のような「幸せを呼ぶシンフォニー彫刻」という高い塔がそびえ立っているから。写真を撮り忘れました。

 実は疲労困憊の極みにある棒はその塔をスルーしようと目論んでいたのだが

「おとうさん、昇ろうよ!」という娘の鶴の一声で渋々入館。塔を下から見上げると荘厳なステンドグラスに囲まれていた。

 

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 ここはバベルの塔か。果てしなく続く螺旋階段に、軽いめまいを覚える僕。

 

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 そんなことはお構いなしに、どんどん昇る10歳児。四十歳近い年の差は歴然。おとうさんをまってくれー。

 

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     ここまで来ると、もはや引き返すこともできない。こわいよ。

 

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         汝、この試練に耐えなば、うるはしきさまを見ん

 

 うすら笑いを浮かべる顔に、意味不明の言葉を投げかけられ、必死に昇る僕。やっと頂上にたどり着くも、限界。もう死にます、さよなら。

 

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 まあ、死なないんですけれど、確かに上に昇るとうるはしき景色は広がっていた。

 

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         ふと下を見ると、先ほどの足湯が見える。

 

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           おとうさん、人がゴミのようだよ!

 

 会心のギャグで僕を笑わせる娘。よくぞここまで育ったもんだ。

 まだまだ盛り沢山です。旅行っていいね。

 

 

 いまだに読んでくださる方がいて、ひっそりとPVが4100超えてた。うれしい。まだの方も、どうぞ。僕の会心のヘビーメタル文芸小説です。(メタルを知らなくても読めます、多分)

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