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僕の80S ザ・キュアー その1

岡崎体育の記事は予想通り「音楽と本」ブログ史上最高のPVを記録しました。他人の褌で相撲をとった気分。やっぱり流行に気を配るべきなんだろうね。

 

でも全く流行に関わり無い昔の僕の記事を載せるよ。もう30年以上聴き続けているザ・キュアー。僕はいかにしてこのバンドにのめり込んだのか。シリーズで行きたいと思う。

 

 ソフトセルを勧めてくれたD君が「今はキュアーだろ」とアルバム「ポルノグラフィー」を貸してくれた。

ポルノグラフィー

ポルノグラフィー

 

正直一曲目の「100years」の不気味なリフはまあ良かったが、その他の曲は異様に暗く重かったので、ソフトセルのポップさに比べるとそう良いとは思えなかった。それでも聴いている内に「ハンギングガーデン」のベースラインとか「フィギュアヘッド」の良さとがじわじわ伝わってきた。

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この不気味な曲で客ノリノリ!

高校生のとき渋谷ディスクユニオンでのレコード大量購入時に買ったのがこれだ。「the LOVE CATS」

                これはもうレアですよ!

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 どんな曲かもよくわからないまま「お、キュアーだ。不気味なジャケットだなー、でも12インチで安いから買うか」ぐらいの気持ちで買ったのだ。家に帰りレコードを聴く。「どっどっさかさっさかさっ」というドラムの音がしばらく続き、続いてウッドベースの音が入り、こんきんこんきん金属的な音がする。一体どんな曲なのかなかなか理解できないうちにピアノが入り、ムチャクチャかっこいいベースラインが流れる。ジャズだ!まさかこんな曲とは全く想像がつかなかったが、かなりの衝撃を受けた。最後のベースソロなど鳥肌が立つくらい感動したよ。プロモの曲はシングルバージョンなので短めだが、それでもこの曲のすばらしさが色あせることはない。

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 この曲1曲でもうキュアーにはまってしまった。B面の「スピークマイランゲージ」と「ミスターピンクアイズ」もやはりジャズ調でかなり良かった。それにしてもこの12インチシングルは今思うと、かなりレア盤だろう。早速この曲のベースをコピーして何回も弾いた。今でも目をつむってでも弾ける。テレ東でやっていた幻の音楽番組、「スーパーステーション」でこの曲のプロモが30秒ほど流れた時は驚喜した。何度も何度も観たっけ。


 キュアーの曲の魅力の一つはそのベースラインの素晴らしさだ。どの曲もベースラインが印象的で、そのおかげで基本的にミニマルな曲なのに飽きがこないのだ。
 D君にこの曲を聴かせると「全然キュアーっぽくない」と言われた。まあそうだろう。今にして思えば丁度この頃がキュアーの音楽的転換期に当たっていたから。ポルノグラフィーでダークサイドを極めた後、ベースのサイモンギャロップが脱退。二人組となったキュアーはとりあえずシングルを出す。それが「LETS GO TO BED」だった。この曲今までの暗黒調から180度転換したムチャクチャキャッチーなディスコナンバーだ。わざとやっているのか知らないが全英一位になったと思う。

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その後「WALK」「LOVECATS」をリリースし、その三枚のシングルは日本企画盤の「ジャパニーズウィスパーズ」となる。当然買いましたよ、発売日に 

Japanese Whispers

Japanese Whispers

 

 シングルの寄せ集めとはいえどの曲も完成度が高い。「WALK」の電子的なベースラインとか天才的。ベースギターで弾いていないのにもかかわらず無理矢理コピーして弾いていたなあ。

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 「ジャパニーズウィスパーズ」の後に、満を持して発表されたのが「THE TOP」だ。

Top

Top

 

 

 一曲目から強烈なドラムのタムが入り、サイケデリックなギターが鳴り響く。重い!でもポルノグラフィーのような重苦しさではなく、もっと突き抜けたものを感じた。世界の終わりを告げるような大仰な「シェイクドッグシェイク」が終わるとうってかわってメランコリックな「バードマッドガール」へと続く。この曲は切なくて、よろしい。その後のキュアーの定番となる中近東風の「ウェイリングウォール」の後には景気のいいリズムの「ギブミーイット」だ。

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最近のライヴ。ロバート太ったな。しかも声がもう出てない。悲しい。

僕はこの曲のヤケクソぶりが好きで、友人からビデオカメラを借りたときに、友達何人かで部屋の中で暴れまくっているところを撮影し、ミキサーを使ってこの曲にのせたマッドなミュージックビデオを作った。どこへいったのかなあ、あれ。今観ると恥ずかしさを通り越して爆笑すると思うんだけど。
 シングルになった「キャタピラー」から始まるB面の曲もいいのだが、あまり今は聴こうとは思わないなあ。ラストの「トップ」は不安感たっぷりの感じが良いけれど。曲の最後に鎖の音がするのだが、当時は何か重大な意味が隠されているのでは?と真剣に考えたものだ。
 普通キュアーのアルバムって、ある程度曲のカラーをそろえたりするものだが、このアルバムは全くそういうことを考えていないようにも思える。全曲の雰囲気がまるで違うのだ。それでいてキュアーの曲以外の何者でもない。
 ますますはまったのでD君にセカンドアルバム「セブンティーンセコンズ」を借りたのだが、全然雰囲気が違う。白黒世界を基調とした暗いアルバムなのだ。もちろん初期の傑作「フォレスト」や「セブンティーンセコンズ」が収録されていて名盤には違いない。さらにその後3rdアルバム「フェイス」を購入する。

 

FAITH

FAITH

 

 

一曲目から「でででー」とフランジャーがかかりまくったベースで始まる「ホーリィアワー」だ。音だけですけどどうぞ。

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いまだにたまにライブでやっているらしい。

不気味でありながら耳に残るこのメロディー、早速コピーしましたよ。フランジャーをかけて同じような音色になったのがムチャクチャ嬉しかった。このアルバムも暗い。そもそもアルバムタイトルが「信仰」である。このあたりからキュアーを聞き始めた人にとってはシングル三部作やトップのカラフルさはとうてい受け入れられなかったのではないだろうか。
 ところでシングル三部作の頃、バンドの中心人物ロバートスミスはスージーアンドザバンシーズのギタリストとしても活躍しており、ラジオでバンシーズのライブを放送したときは心待ちにして聞いたものだ。頭の「イスラエル」なんかかなりかっこよかった。そんでロバートはこの縁でバンシーズのベーシストスティーヴセヴェリンと「グローブ」というプロジェクトを組み、アルバム「ブルーサンシャイン」を発表する。当時はキュアー関係なら何でも欲しかったのでディスクユニオンで買ったよ。

 

Blue Sunshine

Blue Sunshine

 

 

キュアー=ロバートスミスの歌声なので、当然このバンドもロバートがボーカルと思っていたら、いきなり弱々しいボーカルが「らいくあんあにまーる」とか歌っている。なんだよ!ロバートがボーカルじゃないのかよ!あの泣きそうな歌声がいいのに!結局このアルバムではロバートは2曲ほどしか歌っていない。けれどもせっかく買ったので無理矢理このアルバムは聴いた。

 最後の曲でなぜか日本の時代劇の音声がサンプリングされており何度も何度も「井筒屋から銭をもらわなきゃあ」「へいっ」という台詞を聞かされる羽目になる。ふと気づくと自転車に乗りながら「井筒屋から銭を・・」と言っていることがあったのが恥ずかしい。

「THE TOP」の後しばらくしてライブアルバム「コンサート」がリリースされた。

Concert Live 1984

Concert Live 1984

 

 

これがまたダイナミックな内容。それまではスタジオワーク中心のイメージを持っていたのだが、このアルバムはライブバンドとしてのキュアーの魅力が詰まっている。しかも、これまでのベスト盤的な選曲であり、聴いたことのないシングルの「シャーロットサムタイムス」(名曲!)や1STの代表曲「KILLING AN ARAB」

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などが収録されており、当時の僕にとって大満足の内容だった。特に「KILLING~」のベースで始まる部分とアラビアンなギターがムチャクチャ良かった。後でスタジオバージョンを聴いてみるとぺらぺらのギタ-サウンドでがっかりした覚えがある。


 ライナーノーツにこの曲はフランスの不条理文学の作家カミュの「異邦人」から着想を得ていると書いてあったので早速本屋に行って「異邦人」を購入し読破。なぜアラブ人を殺したのか?それは太陽がまぶしかったからだ!そこから芋づる式にカミュの本を読んだりしていい気になっていた。「不条理文学」っていう響きがいいよね。さらにその後カフカにたどり着いた。図書館で三段組みのカフカ全集を借り毎日午前一時ぐらいまで「審判」とか「城」とかを読んでは悦に入っていた。ある時クラスで読書会があって、本を選ぶときに、みんな本なんて読まないのでなかなか決まらず、自分がカフカがいい、みたいなことをいったら先生が喜んじゃって全員カフカの「変身」を読むはめに。クラス全員に恨まれた。 


 そのころ僕は友人のM君と二人でなんとかバンドが組みたくて仕方がなかったのだが(彼はギターとキーボードを担当)しかしドラムが見つからないという状況だった。そんなある日彼が後輩にドラムを叩くやつがいる、ということで名前は忘れてしまったがそいつにドラムを頼み、念願のスタジオ入りをする日がやってきた。

 ボーカルをクラスの友人(バンド経験無し、洋楽とかも聴かない)に頼んだ。隣のクラスの女子にキーボードも頼んだ。そのときの課題曲、なぜだかわからないがハノイロックスの「マリブビーチ」だった。

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キュアーとかやりたいのになぜだろう。とにかくバンドが出来そうなので一生懸命コピーしてボロい民家のようなスタジオに集合した。ドキドキしながら合わせてみる。
 が、しかし!ドラムへた!最初のタムのリズムの「だんだんだだだ・だだだだんだだ!」からしてスピードが遅くなったり速くなったり。えー。しかもボーカルも全く歌えていない。失意の内に練習終了。人生初めてのバンド練習なんてこんなものなのだろう。
 その当時、ある楽器屋でとあるバンドコンテストがあり、当時高校生バンドがこぞって出演していた。そして僕らはそれに出演するのが夢だった。まずテープ審査とかあるのだが、出せるレベルじゃないよ。仕方がないのでそのバンドは無かったことにして、再びM君と多重録音でヒューマンリーグの「レバノン」とかを演奏する。これもかなり苦労したなー。女性コーラスの部分をM君が裏声で歌ったり、自分がドラムマシンをプログラムしたり。けれども出来は良かった。いまあのテープどこにあるのかな。しかし、いかんせん多重録音をライブで披露など不可能なのでフラストレーションがたまる一方だった。

 そのころ隣のクラスにはかなりギターの上手いI君がおり、彼はコンテストの常連だった。M君と彼のバンドを見に行ったがそのときはジャーニーの「セパレイトウェイズ」など演奏していた。上手かった。それに比べて自分たちのふがいなさ。


 そんなある時、別のバンド仲間がコンサートを企画して、その出演バンドを探しているという。何とかして人前で演奏したい。そこでM君が君のバンドのキーボードをしていたOさんがドラムを最近練習しているので、我々のバンドに参加してくれるように頼んだ。前述の後輩よりは断然上手かった。何よりリズムがきちんとキープされている。しかもその子の友達で、ギターとボーカルが出来るという娘を連れてきてくれた。やっとバンドらしいバンドが出来る!キュアーやろうぜ!コンサートにむけて練習だ!

 

長くてすいません。飽きちゃったでしょ。でも続くんですよう。