「パッセンジャー」観てきた。久々のハードSF大作の予感。「インターステラー」クラスの映画だったらいいなあ。
アマゾンプライムで「パンドラム」を見たあとだったので最初のシーン、既視感が・・・。
「パンドラム」、(ここからネタばらしますよ。御注意)これひょっとして乗組員、ゾンビ化してるんじゃないの・・・と思ったらやっぱりそうだった。なんかテレ東で昼間やってた未来の地球が氷河期になった「コロニー5」もこんなんだったし。
注意!「パッセンジャー」ネタばらしますよ!
冒頭宇宙船が宇宙を航行中シーンはこの手の映画の典型的構図。小惑星帯に突入してかなり大型の小惑星を宇宙船が破壊すると、画面は切り替わりジムというひとりの男だけがなぜかコールドスリープから目覚めてしまう。
このコールドスリープって「2001年宇宙の旅」あたりから本格的に映画に現れたのかな。「エイリアン」でも出てきたし。前述の「パンドラム」も同じ。そして大体目覚めた人間は記憶が混乱してぶるぶる震えて、みたいな感じ。
さて、僕が見る前に予告編のみの情報で漠然と想像していた「パッセンジャー」は
二人の男女が目覚めたのは偶然ではなく必然で、そこに何らかの意志(船のコンピューター?)が働いている、というものだった。
しかし実際はジム(クリス・プラット)が目覚めたのはただの故障で、しかも1年間、一人で船内で暮らす。目的地に着くのはあと90年後。話し相手はバーテンのアンドロイドのアーサー1人(1台)。ちなみに僕はアーサー役の俳優を勝手にサイモン・ペグだとばかり思っていたら、マイケル・シーンだった。最近こんな思い違いばっか。
さて、ジムは自殺未遂を起こすほどの孤独に耐え切れず、一目惚れしたオーロラ(なんかすごい名前。ジェニファー・ローレンスが演じてます)という女性を起こしてしまうのだ。
ええ!起こすんだ!じゃあ、当然話の展開からいってバレる時が来るよねえ!いつだろう?クライマックスのどさくさで告白して許されるのかな、と思っていたら、気のきかないアーサーに中盤であっさりバラされてしまう。真実を知った時のジェニファー・ローレンスの目つきが怖い。愛情から憎悪へ。
ラブラブだった2人は急激に険悪な仲になる。そうこうしているうちに船には少しずつ異常が起こり始める。そして唐突にもうひとりの人物が覚醒!
え!もうひとり起きたの?しかもモーフィアス(=ローレンスフィッシュバーン)だ!思わぬサプライズ。僕は船がどうにもならなくなった時に現れるホログラムか何かかと思っていたらただのクルーじゃん。なんで?この辺の事情、映画は説明してくれない。しかも船の異常をある程度調査したらモーフィアス、急に体調崩して医療ポッド行き。そしたら手の施しようがなく、もう死んじゃうんだって。何しに出てきた?かませか?
この医療ポッドも最近のSF映画ではよく見る。「エリジウム」や「プロメテウス」で出てきたよね。大体機能も同じ。惜しむらくは宇宙船のデザインがカッコよかったから、もうちょっとガジェットには目新しさが欲しかった。(タブレットのガジェットはソニー製)
一方、調子の悪くなった船が無重力状態になってプールで泳いでいるオーロラが水の塊に飲まれる描写はすごかった。恐怖。
無重力プールで水に襲われる!/映画『パッセンジャー』本編映像
モーフィアスはろくに活躍せずほとんど横になったまま(無重力状態でも爆睡)、最後は何故か乗組員の制服を着て
「どうだカッコイイだろ、制服姿はモテるんだぜ」
という最期の言葉としてはイカしすぎるセリフで事切れる。
結局冒頭の小惑星帯の事故で船には異常が発生しており、原子炉が爆発寸前という状況。ジムは技術者なので直せるそうだ。都合よくない?そもそも何の技術者なのかわからない。しかし原子炉の火災でその炎を宇宙へ放出しないと船が爆発してしまうので宇宙服で船外から直そうとするジム。放出口のドアが手動でしか開かないので自己犠牲の精神で放出口をオーロラに開けさせる。鉄のシールドで炎に耐えるジム。ていうか、宇宙服、足の部分とか思いっきり炎にさらされていたが何故大丈夫なのだ?
色々あって結末はハリウッド的大団円デス。観ていて嫌な気分にはならないが、どうもつじつまが合わない点が気になる。なんで異常事態なのにすぐコンピュータ、クルーを起こさないかね?いちおうモーフィアスがそのへんそれらしく説明しているのだが、じゃなぜモーフィアスだけ起きた?最後に唐突に流れるJPOPのテーマソングがちょっと嫌だったのですぐに席を立った。なんでそんなことするかね?誰得?まあ、「宇宙のタイタニック」とか言って売ろうとしているらしいので仕方がないか。確かにデートムービーたりえますが。
いくつかの気づいた点。
コールドスリープの説明書を引き出しに入れた時、これを見られてバレるのかと思ったら、全然関係なし。
壁全面がスクリーンになっていて時おりオーロラの画像が映し出される。オーロラを失った比喩か?
船の中でも格差はある。ジムは技術者なので十数種あるコーヒーの中から一番最低ランクの味しか飲めない。一方オーロラはジャーナリストで父親も有名人、ゴールドクラスの客として食事も良い。
宇宙遊泳ができるアトラクションは宇宙銃とか必要じゃないのか?そうじゃないとお方向は自在に変えられないでしょ。最後、宇宙に放り出されたジムをオーロラが助けるシーン、「ゼロ・グラヴィティ」でしょ。
結局最後は船内を有機的な生活空間(木が生え、鶏がうろつく船内)に変えて2人は一生を全うしたようだけど、当然、どちらかが先に死ぬよね?その後どうしたんだ?一人でコールドスリープか?
「パッセンジャー」、佳作でした。次はキングコング観るかな。そして4月にはスカヨハ攻殻だ。期待はずれじゃなきゃいいなあ。
僕の書いた小説。ある意味パッセンジャー的。でも知名度低くて人気ない。誰か読んで!
完結したやつ。